マンダムは11月20日、30~40歳代男性における不快な脂っぽいニオイ「ミドル脂臭」の原因成分が、頭部とその周辺から発生する「ジアセチル」であることを、独自の解析手法により明らかにしたと発表した。

従来、一般的に知られている加齢臭成分「2-ノネナール」の発生が顕在化するのは50歳代以降であるとされてきたが、同社の調査では多くの人が30~40代の男性に体臭の変化を感じており、今回、そのギャップがどうして生じるのかについての研究を行ったという。

マンダムが行った20歳代と40~50歳代の男性における頭部のニオイ特性比較

具体的には、臭気判定士を含む嗅覚専門パネルにより、実際に40~50歳代男性の各部位のニオイ強度の嗅覚測定を実施。その結果、頭部のニオイが最も強かった一方、加齢臭の発生源と言われていた「耳の裏」のニオイは弱い事が明らかとなった。また、40~50歳代男性の頭部のニオイ特性(ニオイの質)を、20歳代男性と比較した結果、40~50歳代男性の頭部および枕は、20歳代男性に比べて強い「脂様のニオイ」を有していることが確認されたという。

さらに研究では、このニオイの原因成分の探索を目的に、40~50歳代男性の頭部や枕からニオイ成分を抽出。解析の結果、その原因成分が「ジアセチル(diacetyl)」であることが特定されたという。ジアセチルの頭部における発生量と年齢との関係を調査した結果、40歳を中心に発生量が多く、20~40歳の間で年齢とともに増加する傾向が確認されたという。また、この増加傾向は、生活者が体臭の変化を認識する年代と一致し、頭部で増加するジアセチルが、ミドル男性特有の体臭の原因成分である事が裏付けられたとする。

また同社では、ジアセチルの発生を効果的に抑制する技術の開発に向け、ヒト皮膚上におけるジアセチルの発生原因となる汗中の成分と皮膚常在細菌の特定に向け、汗中の代謝成分と、ヒト皮膚由来細菌を混合培養し、ジアセチルの発生挙動を解析したところ、ヒト皮膚上の主要細菌である「Staphylococcus属細菌(表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌)」が汗中の乳酸を取り込んで代謝し、ジアセチルが産生される事が判明した。

この結果を受けてジアセチルを効果的に抑制する素材の探索を目的として、102種類の植物エキスのジアセチル抑制効果の評価を実施。その結果、カンゾウ、ケイヒなど、フラボノイドを含有する数種の植物エキスが、皮膚常在菌によるジアセチル産生を効果的に抑制する事を発見したという。また、これらの植物エキスの効果は、菌数の減少が伴っていなかったことから、殺菌効果による抑制ではなく、ジアセチルの産生に関連する代謝経路そのものを阻害することによる抑制の可能性が示唆されたとのことで、さらなる研究として、植物エキスのジアセチル関連代謝への影響を確認した結果、乳酸からピルビン酸への代謝速度を低下させ、菌体内への取込みも抑制する事が判明したという。

今回の一連の結果は、ミドル脂臭というミドル男性の主要な体臭の存在を示したものとなったほか、フラボノイド含有植物エキスのジアセチル産生抑制効果が、乳酸からピルビン酸への代謝抑制を果たすことで、そのニオイの発生を抑えることができることを示したものであり、同社では今後、これらの知見を応用し、ミドル脂臭の原因成分であるジアセチルに対応した、効果的なデオドラント剤と開発を目指す予定としており、第1弾として、2014年2月24日に、ミドル男性特有の体のニオイに着目したデオドラントシリーズ「薬用スカルプデオシャンプー」「薬用デオドラントボディウォッシュ」「薬用デオドラントスプレー」「薬用デオドラントスポットの販売を開始するとしている。

30-40代男性のニオイの犯人となる「ジアセチル」の概要と、植物性フラボノイドによる抑制の概要