ロームは7月19日、TV/モニタ用TFT-LCDの低消費電力化に寄与する4chバックライト用LEDドライバ「BD9428」を発表した。
TFT-LCDで使用される電力のうち、約7割はバックライト部分で占めると言われ、その高効率化は常に課題となっている。これに対し、同社はLEDドライバからLEDに供給する電源電圧を最適化し、LEDバックライトシステム全体の消費電力を削減する基本特許を取得しており、これまで開発を進めてきた。
一方、セットにおける設計時間の短縮やコスト軽減のため、バックライト部分のLEDドライバと一次電源部分のAC/DCコンバータを同一基板上に構成し、プラットフォーム化するといった要求も増えているが、高耐圧化や大電流対応、発熱対策が課題となっていた。
高耐圧、大電流化、放熱性向上の解決策としては、LED駆動用MOSFETを外付けする方法が一般的だが、実装面積や部品コストの増加が問題となっている。今回、先端の高耐圧BiC-DMOSプロセスにより、1チップで従来60VだったLED端子電圧を80Vに高め、最大LED電流も従来の150mA/chから250mA/chへと大電流化することに成功した。高耐圧、大電流化により、発生しやすくなるコイルの音鳴りについては、PWM調光時に電流波形を滑らかにする独自回路を内蔵することで改善するとともに、回路の最適化によりパルス信号が短くても安定動作が可能となった。
また、特許取得済みの高効率化システムにより、従来の制御方法と比較して効率を10%以上改善し、機器の低消費電力化にも寄与する。さらに、DIPパッケージを採用することで、同一基板化の際に課題となっていた放熱対策も容易になった。これらにより、幅広い画面サイズで使用可能となり、設計コストの低減や開発時間を短縮できるようになるとしている。
なお、価格は200円。9月からサンプル出荷を開始し、11月から月産20万個規模で量産を開始する予定。生産は、前工程がローム浜松、後工程がROHM Electronics Philippinesにて行われる。