そして針生氏は、今後、スマートデバイス導入の目的が変化するだろうと指摘する。

「現在はPCと同じく、業務効率化や生産性向上を目的として導入している企業ばかりですが、いずれそれを超えてビジネスにいかに貢献できるかを考えるようになるはずです。そこの転換がなければ、本当の活用とはいえないでしょう。たとえば、今はBtoE(企業対従業員)での利用が大半ですが、BtoCやBtoB、BtoBtoCでの活用も期待したいですね」と語る。

企業には、B2E(企業対従業員) 環境とB2C (企業対消費者) 環境向けの2つのモバイル戦略が必要となるでしょう。B2Eの場合、IT部門は社会的な目標、ビジネス面の目標、財政面の目標、リスク管理面の目標を考慮しなければなりません。消費者をサポートするためのB2B (企業対企業) 活動も含まれるB2Cの場合、IT部門はエンタプライズ・データやシステムにアクセスするAPIの洗い出しと管理、サードパーティ・アプリケーションとの統合、さまざまなパートナーとの統合による検索やソーシャル・ネットワーキング機能の提供、アプリケーション・ストアを通じた配信など、さらに多くの課題に対応する必要があります』としている。

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最後に、PCとスマートデバイスと関係について針生氏は、「スマートデバイスを導入する企業は今後もどんどん増えて行くでしょうが、単純にPCと入れ替わるとは考えていません。今のところスマートデバイスは、閲覧をメインとした業務には向いていますが、入力主体の業務には向かないからです。しかし、上手に使い分ける形で広がって行くでしょうね」と語った。

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