100年企業を目指すEvernoteは今後、まず短期的にはiOS版とMac版を強化する。iOS版のバージョン4.1.0(8月22日リリース)は、リッチテキスト、ノート内検索、アプリのPINコードロック、iPad用の新UIなど、ユーザーからの要望が多かった機能を数多く新搭載している。注目は、共有ノートブックへのアクセスだ。Android版やデスクトップ版には実装されていたが、iOS版が未対応だったためEvernoteは共有ノートブックをアピールしてこなかった。全ての対応プラットフォームを通じて利用できるようになったことで、今後は共有ノートブックのようなコミュニケーション機能の拡充が期待できる。

これまでiPad向けに、初代iPad発売前の実物を手にする前に開発したデザインが用いられていたが、v4.1.0でiPad向けの本格的な刷新が行われた

Mac用の最新版はOS X Lionに対応

Mac版のバージョン3.0(8月22日リリース)はOS X Lionのフルスクリーン・モードに対応、新しいFavorites Barを用いて特定のカテゴリやタグなどに素早くノートブックを絞り込める。

中期(数カ月)の計画として「Galleries」というポータル機能のプレビューが披露された。重要なノート、コミュニケーション機能、サードパーティが提供するウイジェットなどを一カ所で閲覧・利用できる。Evernote環境をユーザーがカスタマイズできる機能であり、またEvernote対応のサービスやソフトウェアをEvernoteの中で体験できるようにする機能でもある。

ユーザーからの3つの要望、1.Evernote環境のカスタマイズ、2.友達や仕事仲間とEvernoteコミュニティの融合、3.サードパーティのサービスやソフトのEvernoteへの取り込み

Galleriesのプレビュー。最近のノートや検索、共有アクティビティ、サードパーティ提供のウイジェットなどを一覧できる。表示する項目はユーザーによるカスタマイズ可能

長期間Evernoteを使い続けると大量のデータが蓄積される。それらを効率的に見直せるようにし、また様々な形で再利用できるようにするのは、プラットフォーム企業を目指すEvernoteの今後の大きな課題と言える。Galleriesは、Evernoteの新たな役割りをユーザに示す機能になりそうだ。

Galleryウイジェット提供を希望する開発者向けに、Evernoteは10月にウィジェットHack-a-Thon(招待制)を開催し、11月に開発ツールのアルファ版を提供開始する予定だ。次の冬には、デスクトップ版EvernoteでGalleryウイジェットが利用できるようになる。

長期的(残り97年)には「ユビキタス・プロダクティビティ」という目標を掲げた。数分の空き時間でも時間をムダに潰すことなく、例えばスマートフォンを使って資料を見直すなど、いつでも生産的なアクティビティを行える環境だ。モバイルゲームはエンターテインメントからのアプローチだが、Evernoteはあらゆるプロダクティビティに関してユビキタスの実現を目指す。そのサービスを「世界70億人、すべての人に届けたい」とLibin氏は語った。