OmnitureとDay Softwareが強化したエンタープライズソリューション
Lynch氏はエンタープライズアプリケーションの領域について説明する前に、「コンシューマ向けのインターネットに比べて、企業向けのインターネットは遅れている」と指摘し、これを解消するためにはより良い体験を提供することが重要だと語った。
エンタープライズアプリケーションを支える基盤としては、「プロセス」「ソーシャル」「コンテンツ」そして「分析」が重要となる。そのうちAdobeではLiveCycleによってプロセスやソーシャル性を、Omunitureによって分析を強力にサポートしてきた。そしてすでに発表されているDay Softwareの買収により、コンテンツ部分のサポートが大きく強化されることになるという。
Day SoftwareのDay CQ5やCRX製品群は、異なるデバイスに向けて優れたコンテンツ管理機能を提供するツールである。同社CTOのDavid Nuescheler氏は「異なる端末で同じコンテンツを同じように見せるのは適切ではない。端末ごとにそれぞれ適切な見せ方がある。同一のコンテンツから、特定の環境にすばやく適用できるようにすることが大事」と語り、マルチスクリーン環境におけるコンテンツ管理の重要性を訴えた。
次に、Flex 4.5のベータ版の公開が正式に発表された。Flex 4.5では、従来のコンポーネントやスキンを、タッチスクリーン上でもそのまま利用することができる。Lynch氏はトロントの病院で実際に行われた事例を紹介し、エンタープライズ分野におけるFlashやAIR、としてFlexの優位性を強調した。
続いてBlackBerryによる新しいタブレット端末である「PlayBook」が始めて公開された。複数のAIRアプリケーションをマルチタスクで同時実行する機能や、異なるアプリケーションを協調動作させる機能などが搭載された端末であり、同社President & CO-CEOのMike Lazaridisによれば「Flashデベロッパの選択肢を拡げる端末になる」とのことである。PlaybBook向けのAIRアプリケーション開発ツールであるBlackBerry PlayBook Developer Kitも同時に公開された。
3D機能搭載のFlashで楽しむ次世代ゲーム
ゲームもFlashを有するAdobeにとって非常に強い領域である。インターネット上や携帯端末向けに公開されているゲームの多くはFlashベースで開発されているからだ。Lynch氏はゲーム分野におけるマルチスクリーン対応の例としてAIRベースのゲームをデモンストレーションして見せた。これはPCと同じゲームがスマートフォンやタブレットなどのAndroid端末でもまったく同じように遊べるというデモだが、Android端末上でのAIRアプリの実行は同日正式リリースされた「AIR for Android」によって可能になったものである。
Andoroid端末の場合、コントローラではなくタッチディスプレイを使ったインタフェースで操作する。また、3Dグラフィックスの軽快な表示はGPUのアクセラレーション機能を活用することで実現したとのことである。
別のデモでは、さまざまなゲームコントローラでAIRアプリケーションを遊ぶ様子が紹介された。Flashがゲームコントローラをサポートすることによって、ゲームの表現力がより高まるとのことである。
また、Flashには本格的な3D機能の搭載も計画されているという。Lynch氏がデモに使用したレースゲームでは、3Dレンダリングを使っているにも関わらずCPU1利用率は0%から1%という驚くべき結果であった。これはGPUのハードウェアアクセラレーションを活用しているからとのこと。この機能は3Dフレームワーク「Immersive 3D」としてAPIで利用できる形で提供される予定だ。GPUが利用できない環境も考慮してソフトウェアレンダリング機能も備えるという。
最後に、Adobe MAX 2010の参加者全員にMotorollaのAndroid端末「DROID2」が配られるということが発表された。それにあたって同社Corporate Vice PresidentのChristy Wyatt氏は「マルチスクリーンの変化をぜひ皆さんに使っていただきたい。最適な体験を作ってほしい」と語り、参加者へのマルチスクリーンへの参加を促した。