Hyper-Vで便利だと思った機能のひとつに、スナップショット機能がある。これを使えば、ある時点での仮想マシンの状態を保持しておけるので、後から変更が加わっても、スナップショットをとった時点の状態に戻すことができる。これは、実験機にとっては極めて有用性が高い機能だ。

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井上
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たとえば、何か実験のために設定を変更したり、レジストリを変更することがある。Hyper-Vなら、目的を達成した後でスナップショット機能を使って元に戻せばよい。OSを新規にセットアップし直す手間がかからないのは助かる。

しかも、スナップショットは複数作成できるから、複数の状態を保持しておける。これは、極めて実験向きの機能である。業務用の環境として仮想化環境を運用する場合でも、障害復旧やトラブル発生時の先祖返りといった場面で活躍してくれるだろう。

(参照)
サーバー仮想化に関するバックアップと障害復旧 (TechNet Magazine)

スナップショットを作成しておくと、仮想マシンを特定時点での状態に戻すことができる。実験でいろいろと設定をいじる場面が多いので、この機能は極めて重宝している

あと、スナップショットとは関係ないが、動作中の状態を保存して仮想マシンを止められるメリットも大きい。サーバOSは往々にして起動に時間がかかるものだから、動作中の状態を保持したまま停止させることができれば、筆者のようなせっかちさんにとっては、作業の効率が案外と高まる。

仮想マシンを保存しておくと、次に作業を行う際に元の動作状態を再現して作業を再開するのが楽だ。一種の休止状態として使用できる。左は保存を指示したところ、右は保存中の画面

このほか、Hyper-Vを使うと、Hyper-Vが動作しているコンピュータの中でクローズドなネットワーク(仮想プライベートネットワーク)を構築できる。外部に影響しない形で、複数台のサーバからなる実験用のネットワーク環境を運用できるので、実験には極めて都合がいい。

また、外部のネットワークとの間でNATを動作させることもできるので、「LAN対インターネット」みたいな形の実験も可能だ。これは、ネットワークがらみの実験を行う際に重宝する機能といえる。

(参照)
仮想ネットワークを構成する

仮想ネットワークを使うと、仮想マシン同士だけで構成するクローズドなネットワークを用意できるので、いろいろ実験するには都合がよい

サーバ統合のメリットは企業ユーザーだけにあらず

仮想化環境のメリットというと、一般的には「サーバの集約・統合が可能」といった点が挙げられる。企業ユーザーの場合、これは設置スペースや維持・運用コストの問題に直結しているわけだが、筆者のような特殊な環境(?)でも、Hyper-Vによるサーバ統合のメリットはあることを身をもって経験できた。むしろ、自宅で仕事をしている分だけ、設置スペースや維持・運用コストの問題はシビアかも知れない。

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井上
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ちなみに、IT系ライターに独特な仮想化のメリットとして、「OSをセットアップするときの画面をキャプチャできる」というものがある。仮想化環境が登場する前は、夜間にカメラでディスプレイの画面を撮影する、なんていう方法を使っていたこともある。それと比べれば桁違いに楽だ。

といったところで今回の記事は終わりにして、次回は、Windows Server 2008 R2へのバージョンアップに伴って登場したHyper-V 2.0のメリットや、仮想化環境を使う上で筆者が経験したあれこれについて書いてみることにしたい。