IntelとMicrosoftの体力を削るPC市場の変化

こうした状況はPCメーカーの体力を削るだけでなく、最大のコンポーネント提供元であるIntelやMicrosoftの体力も徐々に削り取ることを意味する。

まずコスト下落圧力で製品価格が下がり、マージンが減少すること。そしてIntelのような部品メーカーで顕著なのが、製品販売不振で在庫が積み上がることだ。

ネットブックのPC市場でのシェアが拡大するのも将来的にはダメージとなる。IntelはAtom、Microsoftは特別価格のWindows XPをそれぞれ同市場に投入しているが、これらは高性能なPCと比較して価格も安く、売上全体やマージンはそれほど高くない。Wall Street Journalの20日(現地時間)付けの記事では「ネットブック向けWindows XPのライセンス価格は15ドル以下で、通常のWindows Vistaの50-60ドルと比較して3割未満」という関係者のコメントを紹介している。新規市場を開拓するならまだしも、本来のメインストリームの市場をネットブックで食われてしまうことは、ビジネス戦略上からも非常にまずい状況だ。

ネットサービスやゲーム事業など、新規分野の開拓を急ぐMicrosoftだが、依然としてその収入源のほとんどをWindowsとOffice製品に依存している。下記は今年1月に同社が発表した2008年10-12月期の四半期決算の事業別内訳だ。

2009年第2四半期(2008年10-12月期)の事業別売上(Revenue)

事業 2008年10-12月期 2007年10-12月期
クライアント 3982 4334
サーバ&ツール 3743 3261
オンラインサービス 866 863
ビジネス 4876 4815
エンターテイメント&デバイス 3183 3076
その他 (21) 18
合計 16629 16367
単位は100万ドル、括弧内はマイナス

2009年第2四半期(2008年10-12月期)の事業別営業利益(Operating Income)

事業 2008年10-12月期 2007年10-12月期
クライアント 2946 3386
サーバ&ツール 1489 1154
オンラインサービス (471) (247)
ビジネス 3140 3185
エンターテイメント&デバイス 151 375
その他 (1316) (1400)
合計 5939 6453
単位は100万ドル、括弧内はマイナス

クライアント部門はWindows製品、サーバ&ツール部門はWindows ServerやSQL / Exchangeなどのサーバミドルウェア製品、そしてVisual Studioなどのツール群、ビジネス部門ではDynamicsなどのビジネスソリューションのほか、Microsoft Officeといったツール製品をカバーしている。

税引き前の本業の収益となる営業利益ベースで比較するとわかりやすいが、クライアント向けWindowsとOffice製品でそれぞれ4割ずつ、合計すると8割近くが両製品からの収益であることがわかる。また売上ベースでは前年同期比でWindows販売が中心のクライアント部門が8%ほど減少しており、年末商戦で微少ながらPC販売不調の影響を受けている。同社は23日(現地時間)に2009年第3四半期決算の発表を控えているが、この部分がどのように推移しているかが最も注目ポイントとなるだろう。