宇宙で起こっていることを少しずつでも知るようになると、そのスケールのあまりの大きさに言葉を失うときがある。圧倒されるというより、巨大すぎて、実感できないというのが正直なところだ。銀河団(galaxy clusters)という存在を知ったときも、銀河系だけでも全体像を掴むことがむずかしいのに、さらにいくつもの銀河がまとまっているなんて、まったく想像がつかなかった。だが、想像の世界ではなく、実際に我々の宇宙に存在するものだ、ということを美しい画像で教えてくれるのが現在の望遠鏡である。

地球から54億光年離れた宇宙の果てで起きた4つの銀河団の衝突を、チャンドラ、ハッブル、そしてハワイ・マウナケア山に設置されているケック(Keck)の3つの望遠鏡でそれぞれ撮影し、合成した画像。衝突後の銀河団は「MACSJ0717.5+3745」と名付けられている

銀河団は、数十から数千の銀河が互いの重力で結びつけられた状態の天体で、宇宙空間で最も大きな天体構造といわれている。その空間はガスと"フィラメント(filament)"と呼ばれるダークマター(dark matter: 暗黒物質)で充填されているという。ダークマターはその名の通り、光では観測できないので望遠鏡では捉えることができない物質だ。まちがいなく、存在はしているはずなのだが。

観測チームによれば、このように4つの銀河団が1つの巨大な銀河団となる衝突を確認できたのは初めてだという。地球から54億光年離れた、1,300万光年にもわたる大きをもつ超巨大銀河の誕生を、地球にいながらにして目にすることができるというのは、なんとも不思議な気持ちになる。ちなみに我々の銀河系はあと30億年後くらいに、アンドロメダ銀河と衝突するそうだ。もっともこの画像のような、銀河団どうしの衝突に比べたらごくごく小さな宇宙のひとこまに過ぎない現象ではあるが。