SOAやBPMなど、システム統合やビジネス改善に関するキーワードが市場を賑わせている。IBMやHPなど、ミドルウェアを主力とするベンダー各社も最近ではシステムや経営改善ソリューションに力を入れており、売上に対する比率も高まりつつある。独Software AGもまた、こうしたソリューションを主力とするソフトウェアベンダ大手のひとつだ。

一方でSOAというキーワードは一時期の過剰な露出が災いして「すでにブームは過ぎ去った」という論調で語られることも増えてきた。また昨今の金融危機に端を発する企業の投資抑制もあり、従来のようなシステム投資における大型案件や受注額は停滞または減少傾向にある。特に前述のようなシステム各社にとっては死活問題だ。

今回は、ドイツ本社から来日した独Software AGバイスプレジデント兼副CTO Guido Falkenberg(ギドー・ファルケンベルク)氏と、先日日本法人社長に就任したソフトウェア・エー・ジー 代表取締役 Colin Brookes(コリン・ブルックス)氏の両名に、SOAやBPMなどの市場を取り巻く現状と、今後の同社の展開について話を聞いた。

ソフトウェア・エー・ジー 代表取締役 Colin Brookes氏(左)と独Software AGバイスプレジデント兼副CTO Guido Falkenberg氏

--近年、世界的な金融危機が叫ばれているが、顧客企業の投資活動にどのようなマインドの変化が起きているのか?

Falkenberg氏: 影響はある。だがすべての企業が影響を受けているわけではなく、依然として投資を続けている企業もある。われわれの望みは顧客にビジネスを続けてほしいということだ。企業ビジネスのどこでコスト削減を実現できるのかを知るために、われわれのBPMやビジネス・アクティブ・モニタリング(BAM)をツールとして活用し、効率化によるコスト削減を実現してほしいと考えている。

--影響を受けている企業は、どのような業種や規模が多いのか?

Falkenberg氏: 一番直近で大きな影響を受けているといえるのは、マスコミの報道に登場するような企業だ。たとえば米国の金融や自動車セクターがそれにあたる。この金融危機で生き残った企業は、今後どうやって経営を改善し、破綻してしまった企業を顧みることでどのように改善に活かせるかに注力している。多くの企業はコスト削減のためにIT業務をSIerなどにアウトソースすることを考えているが、その中心となるアプリケーションのアウトソースは難しい。なぜなら、アプリケーションこそがその企業のDNAだからだ。

--こうした金融危機においてSOAやBPMはどのように作用するのか?

--Falkenberg氏: 今後、SOAと比較してBPMは企業のビジネス活動において駆動力となっていくことだろう。なぜならBPMはビジネスプロセスであり、企業の価値そのものだからだ。SOAが広がりだした初期段階においては、こうした価値という視点が欠けていたのが問題だったと考えている。一時期、SOAがまるでIT業界において主要トピックとして扱われていたことがあったが、それが理由で本来注目すべき価値の部分が隠れてしまった。今後BPMの市場が成長していくことで、同時にSOA自体の市場も成長を遂げていくのではないか。またその先にはBAMの需要がある。BPMの導入でビジネス上の透過性が高まるが、それだけでは詳細がどういったものかわからない。しかしBAMを使うことでビジネスがきちんと動いているのか、ボトルネックがどこかを測ることができる。