来年の話をすると鬼が笑うと言うが、去年の話だとどうなのだろう。爆笑? 冷笑? 軽く失笑くらいかもしれないが、まぁ節分も終わったのでそこは気にせず、2008年12月のネット事件簿を追うことにしよう。今回は年末の慌ただしさに紛れてか、掲載されたネット事件記事は7本。その中でダントツのアクセスを集めたのは、盗んだバイクならぬ"三輪車"事件だった。

2008年12月のネット事件簿 Top10(※)

順位 記事 掲載日
1 位 盗んだ三輪車でオークション、被害者が落札の機転で窃盗男逮捕 - 群馬県警 12/10
2 位 早大セクハラ・パワハラ相談資料がネット流出 - 99~07年度719件分 12/2
3 位 食事断られた腹いせ? 全裸コラ画像をSNSに掲載した59歳男を逮捕 - 兵庫県警 12/9
4 位 マジコン販売「DSGAMEJP」運営の男、公衆送信権侵害で再逮捕 - 京都府警 12/4
5 位 摘発相次ぐ"マジコン+ROMデータ"オークション、愛媛の塾経営者を逮捕 12/2
6位 児童ポルノDVD販売の公務員男、"提供目的の所持"で現行犯逮捕 - 警視庁 12/10
7 位 JALホテルズ、14万人分の顧客情報が閲覧可能状態に - サーバ公開設定ミスで 12/8
※各記事の掲載日(12/1~12/31)から1週間のアクセス数をもとにしています。

今回もツッコミ所満載のオークション関連事件、今度は三輪車

オークションの絡んだ事件はこれまでもいろいろとあったが、今回の品目は「三輪車」。自転車やバイクなら、金額的に数万~十万円以上になる品も少なくないのだろうが、なぜか三輪車。庭先からひょいと持って行ける大きさだし、自転車防犯登録や車検証のような持ち主を証明するものが無いので、盗品を疑われにくいということもあったのかもしれない。

だが、参考までにYahoo!オークションに出品されている三輪車を見てみると、イタリア製の新品でもない限り1万円以上の価格が設定されているものは見あたらず、一般的なもので入札があるのはほとんど数百円から3~4千円台。三輪車マニア(いるのかは不明)に人気のレア物とか誰かのサイン入りというプレミアでもない限り、まともに考えれば"善意の不要品処分"以上の価値を望むのは難しそうだ。その上、撮影・出品・連絡・梱包・発送までの手間もかかるのに、なぜオークションにしたのだろうか。

リサイクルショップ等に持ち込んでしまえばそうした手間は省けるが、店員と対面する必要があるし、通常は身分証の提示を求められる。骨董品から家電、航空機まで、一度使用された品物を売買する「古物商」は、取引において「当事者の住所及び氏名を帳簿等に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない」(古物営業法 第十七条)からだ。

その点、ネットオークションなら知らない相手に細かい事情はヌキにして売ることができる。さらに、Yahoo!オークションの「受け取り後決済サービス」や、楽天オークションの「楽天あんしん決済サービス」を利用すれば、出品者・落札者が匿名で取引することも可能だ。

しかし、この"匿名"で隠れられると思うのは浅はかすぎる。ネットオークションのユーザー登録をする時点で、名前・メールアドレス等だけでなく、本人確認書類の提出やクレジットカード・銀行口座番号などを求められ、事業者側には完全に身元が明かされているのだ。犯人も忘れたわけではなかろうに。

今回は当事者が盗品を発見、しかも落札して証拠を掴んだ上で警察に届けるという対応をとったことで、まさに「あえなく御用となった」わけだ。だが、もしこの出品が見逃されていたら……。もちろん、盗品の出品は利用規約で禁止されている。しかし身の回りで無くなった、盗まれたと思うものがあったら、ダメモトで一度オークションを覗いてみる価値はあるのかもしれない。

仕事熱心は良いけれど、個人プレーはほどほどに……

2005年に施行された「個人情報保護法」では、事業分野ごとにその実情に応じたガイドラインが各省庁によって定められている。医療分野なら厚生労働省、金融分野なら金融庁など、24分野について37のガイドライン(2008年4月時点)があり、個人情報を取り扱う必要のある事業者は、基本となる個人情報保護法に加えその事業分野のガイドラインも守るよう求められている。

教育分野の場合は文部科学省から「学校における生徒等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」が示されており、生徒の個人データ取り扱いについて担当者とその権限を明確にすることや、必要な知識・経験のある人から管理責任者を選ぶこと、また個人データを扱う仕事の重要性を認識させ、教育・研修を行う等の措置を講ずるよう努める、などとされている。

要は、それなりに分かる人が責任を持って管理しなさい、ということだ。今回ランキング2位に入った事件ではどのような体制で情報が扱われていたのだろう。ある意味仕事熱心ではあったのだろうが、カウンセラーの立場にある人がデータベース化を自らの手で試みなくてはならないほど人手が足りなかったのだろうか。あるいは、業務上の問題を相談できる上司、責任者はいなかったのだろうか。

嘱託職員の取り扱っていた情報が名簿・リスト的なものとは異なるようなので、単純に同法の適用範囲とは言えないのかもしれない。しかし、むやみに他人の目にさらせばプライバシー権の侵害を訴えられて当然なほど、慎重に扱わなくてはならない内容であることは確かだ。データの利用・保管についてどのような規定があったのかは分からないが、やはり責任を持った管理と担当者の教育・研修が必要な領域だったと言える。

こんな正論を後から並べることはたやすいが、この事件のために学内セクハラ・パワハラ被害者が相談を躊躇する状況は回避できるよう、対応が講じられていることを願いたい。

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