CSK Winテクノロジ、サイオステクノロジー、センドメールは10日、センドメールのメールサーバ「Sendmail Advanced Message Server(SAMS)」向けの高可用性クラスタ化ソリューション「Sendmail Cluster Kit for Windows」のリリースを発表した。

センドメールのSAMSは、オープンソースのメール送信エージェント(MTA: Mail Transfer Agent)「Sendmail」をベースとしたメールサーバ・プロダクトである。CSK Winテクノロジでは従来よりSAMSのWindowsプラットフォーム向け製品の提供を行ってきた。

CSK Winテクノロジ 営業部 部長 清瀬友久氏

一方、サイオスではクラスタリングによってシステムの高可用性化を実現するソリューション「LifeKeeper Protection Suite」を提供している。これを利用することで、ハードウェアやネットワークの障害、ソフトウェアの不具合などによるシステムの停止を防ぎ、サービスの高い信頼性と継続性を実現することができる。同製品の場合、全ての設定や運用管理をGUIで行えるのが特徴。

今回CSK WinテクノロジがリリースしたSendmail Cluster Kit for Windowsは、Windows版SAMSをサイオスのLifeKeeper Protection Suite for Windowsと連携させることでメールシステムのHA(High Availability)クラスタ化を実現するソリューションだ。通常、両製品を連携させるためには複雑なスクリプトを記述しなければならない。Sendmail Cluster Kit for WindowsではCSK Winテクノロジの開発した連携ソフトウェア「SAMS ARK(SAMS Application Recovery Kit)」を組み込むことによって、スクリプトを一切記述すること無しにSAMSメールシステムのHAクラスタ化を実現できるとのことである。

CSK Winテクノロジが同製品を開発した背景には、近年メールシステムがビジネスの必須アイテムとなっており、その重要性が高まっていることが挙げられると同社営業部部長の清瀬友久氏は言う。ビジネスの中核を担うメールシステムの場合、万が一の障害発生時にもその影響を最小限に抑えなければならない。しかしホットスタンバイによる可用性の高いシステムを構築するためには、共有ディスクなどの効果なハードウェアやエンタープライズ対応OSなどが必要となり、高いコストがかかる。

サイオステクノロジー 執行役員 エンタープライズソリューション部 部長 小野寺章氏

Sendmail Cluster Kit for Windowsでは、LifeKeeper Protection Suiteの持つデータリプリケーション機能によって、共有ディスクを使うことなくHAクラスタ構成を実現することができるという。これはWAN経由でネットワーク越しに筐体間ミラーリングを行う機能で、アクティブ側/スタンバイ側の双方で同じデータを保持するため、高価な共有ディスクを用意する必要がない。このデータリプリケーション機能には、アクティブ側での書き込み処理をスタンバイ側に反映した上でジョブ完了とする同期モードと、アクティブ側での書き込み処理後にスタンバイ側の処理キューにコピーを送る非同期モードが用意されている。もちろん、共有ディスクによるHAクラスタ構成にも対応している。

Sendmail Cluster Kit for Windowsのもうひとつの特徴として、HAクラスタ構成に使用するサーバOSのエディションを問わないという点が挙げられる。例えばアクティブ側にWindow 2000システム、スタンバイ側にWindows 2003システムという構成も可能だ。またWindows StandardタイプのOSにも対応しているため高価なEnterprise OSを新たに購入しなくてもいい。したがって、既存のSAMSシステムをHAクラスタ化するために最低限必要なものは、Sendmail Cluster Kit for Windowsと増設用サーバ、そしてSAMS HAライセンスのみとのことだ。

センドメール テクニカルディレクター 末政延浩氏

また、サイオスでは同日「LifeKeeper Protection Suite for Windows v6」のリリースを発表している。v6ではGUI機能が改良されてユーザビリティが大幅に向上している他、データリプリケーション機能を担う「SteelEye Data Replication」にCDP(継続的データ保護)機能が追加されているとのことだ。同社執行役員エンタープライズソリューション部部長の小野寺章氏によれば、HAクラスタ機能とCDP機能を両方備えたソリューションは国内で初だという。Sendmail Cluster Kit for Windowsではこのv6が採用されているため、CDP機能も利用可能だ。

今後、Sendmail Cluster Kit for Windowsの販売や一次サポートはCSK Winテクノロジが行い、SAMSやメールシステムに対する技術協力やバックサポートはセンドメールが、LifeKeeper Protection Suite for Windows v6をはじめとするHAクラスタ部分に対する技術協力やバックサポートはサイオスが担当するとのことである。