前回の記事では、企業が生産性向上を図るうえで、いかにERP(基幹系システム)を含めた基幹業務の見直し(ERP経営革命)が重要であるか、そして今後のデジタル技術の進展もふまえたとき、NTTデータグループがERP経営革命の有力なパートナーになり得ることについて述べてきた。今回は、中堅・中小企業の中でも、深刻な悩みを抱えている特定の業界・業種におけるERP導入エピソードを紹介していこう。

決め手は「あるべき業務」との親和性
―特化型のERPソリューションで導入がスムーズに

市場に出回っているERP製品・サービスの多くは、一般的な企業がビジネスを進めるうえで”スタンダード”とされる業務の流れを対象に作られている。一方、こうしたスタンダードが当てはまりづらい、いわゆる“ニッチな業界・業種”では、標準的なERP製品が業務にマッチせず、膨大なコストと時間をかけてカスタマイズしたり、Excelのマクロなどを使ったり、ERP製品の外で管理したりすることが多い。 それで満足できる結果が得られればよいが「当初の想定コストを大幅に上回ってしまった」「個別最適化されたシステム間の連携がとれない」「マクロの開発担当者が退職後、改修できなくなった」など、なにかと課題が見受けられる。

このような課題を解決するうえで重要なポイントは、各業界・業種に特化した業務親和性の高いERPソリューションを選ぶことだ。従来はカスタマイズが必要だった機能も標準でサポートしているため、一般的なERPと比べて導入のコストや時間を大幅に抑えられる。 また、ERPの内部にきちんと業務データを集約することで、全社経営状況に関わるデータの一元管理、徹底活用のための効率的な基盤整備も可能だ。

それでは、実際にNTTデータが提供している特定の業界・業種に対応したERPソリューションを見ていこう。

ERP導入エピソード


1.ペーパーレス化が進まない食品/電子電気機器など卸売業の現状
-中堅卸売業向けERP「BeAd」


2.「受注生産型製造業」の慣習とベストプラクティスの最適バランスを探る
-中堅製造業向けERP「Biz∫SCAW製番管理」


3.「ひと手間加えた商材」を提供する、水産や機械・工具などの卸売業に求められること -中堅卸売業向けERP「Linkware」


4.医薬・化粧品製造業での、専門的な薬事規制への対応
-中堅医薬製造業向けERP「JIPROS」

1.ペーパーレス化が進まない食品/電子電気機器など卸売業の現状-中堅卸売業向けERP「BeAd」

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    「食品/電子電気機器など卸売業」の悩み・解決策

食品卸売業では、品ぞろえの多様化や物流の小ロット化が原因で、注文を受けてから出荷までの手続きが増えている。さらに、最も重要な「食品」の品質や安全を損なわずにコストを抑え、リードタイムを短縮するという難問にも直面している状況だ。 NTTデータグループは、ある食品卸売企業から「紙やFAXでの注文書が多く、システムへの入力作業が大変」「昨今の働き方改革に沿って業務改善がしたい」という相談を受けた。 食品卸売業では、FAX注文や、紙ベースの伝票管理が未だ主流であり、他業種と比べてペーパーレス化の遅れは否めない。本企業でもペーパーレス化が課題であった。

この相談に対してNTTデータグループは、AI-OCRを用いたペーパーレス化、RPAを用いたデータ入力作業の軽減、ERP「BeAd(ベアド)」テンプレートを用いた登録後の業務フロー全体の見直しを提案した。その内容は注文処理だけでなく、効果が見込めるRPAの活用とトレーサビリティ面からみた各種履歴データの紐づけを実現する総合改善案だ。 注文業務に用いていたFAXのフォーマットや伝票の項目整理など、一部業務のペーパーレス化・効率化だけではなく、食品の品質・安全を担保するための「トレーサビリティ確立」として注文受付から出荷までスピーディーかつ正確に流れることを重視した。

最終的にその企業は、業務データ処理のスピードと正確性という2つの課題両立に向けて、販売管理業務のデータフロー全体見直しに踏み切った。「紙ベースでの注文処理を省力化したい」というきっかけが、NTTデータグループの提案によって、ERPパッケージを軸とした販売管理業務全体の見直しへと繋がったのだ。 その結果、ペーパーレス化や働き方改革に留まらず、納期短縮や出荷・配送ミスの削減も実現できた。 また、業界特有の賞味期限・消費期限やトレーサビリティによる履歴データの管理もBeAdテンプレートによって実現され、これをベースに「フードロス削減」改革も進められているとのことだ。 その企業からは、NTTデータグループは要望したことに留まらない提案をすると評価されているという。

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2.「受注生産型製造業」の慣習とベストプラクティスの最適バランスを探る -中堅製造業向けERP「Biz∫SCAW製番管理」

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    「受注生産型製造業」の悩み・解決策

「製造業」の業種・業態は幅広く、生産方式が「見込生産」か「受注生産」かによって原価や在庫データの管理の方法や項目は異なる。 個別に生産する部分が多いほど、設計仕様・スケジュール・原価など変更が多々発生し、データを全社で適切に管理しきれない中小企業も多い。

ある中堅製造企業では、受注生産の完全オーダメイド製品と、同一仕様で繰り返し生産を行う製品の両方を取り扱い、異なる生産パターンでの原価管理をそれぞれ別の生産管理システムで行っていた。 さらに、それらの生産管理システムとは別に、顧客との取引や見積のデータを管理する営業管理システムも存在し、各システム間のデータ連携は十分に確保されていなかった。 このため「見積を作るには、さまざまな部門に都度問い合わせしなければならない」など、部門や業務間でのデータ連携上の問題がたびたび発生し、その対応に社員の多くの時間が割かれていたのだ。

その企業から相談を受けたNTTデータグループは、個別受注生産の業務をベースとしつつ、繰り返し生産の業務にも対応でき、さらに営業管理の機能もパッケージとして包含した中堅製造業向けERP「Biz∫SCAW(ビズインテグラル スコー)製番管理システム」を紹介した。

「Biz∫SCAW製番管理システム」を導入した結果、見積から製造・出荷までの情報を製造番号情報に基づき一元管理できるようになった。 同時に業務の標準化が進んだ結果、原価積算のスピードや精度も改善し「製品が完成するまで精度の高い原価予測ができない」といった状況が一変した。製品完成の2カ月前には、製造番号ごとの原価予測を実績との乖離±5%以内で算出できるようになった。 ERPパッケージを中心にシステム間のデータ連携が改善したことは、社員同士の連携意識の醸成にも繋がり、現場の社員満足度にもよい影響を与えたという。

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3.「ひと手間加えた商材」を提供する、水産や機械・工具などの卸売業に求められること -中堅卸売業向けERP「Linkware」

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    「水産や機械・工具などの卸売業」の悩み・解決策

卸売業の業務フローは、商材そのものの違いに加え、提供の仕方によっても千差万別だ。 水産卸売業では、得意先からオーダーがなくとも自らの目利きで商材を仕入れ、多数の得意先に商材を販売していくというリスクを厭わぬビジネスも必要としている。 また、機械・工具卸売業では、従来は仕入れた商品をそのまま売っていたが、昨今では商材を組み上げたセット販売や、商品自体を図面から起こして製造し出荷するなど、従来なかった「ひと手間加えた」新たなビジネスが増えている。 また、水産、機械・工具いずれの卸売業においてもM&Aが活発に行われている。このような中堅卸売業が生き残りをかけたビジネス変革は、それらを支えるシステムのあり方、特に柔軟性に対して大きな課題を投げかけている。

ある機械・工具卸では、新規にWeb販売を始めたところ、新規の顧客からこれまでにはないセット販売への要望が多量に寄せられ、既存システムでは対応できなくなっていた。 この企業に対してNTTデータグループは、まずは小さく導入し、事業の拡大や業務の変更に応じて、システムを柔軟に改変できる中堅卸売業向けERP「Linkware(リンクウェア)」を紹介した。

「Linkware」は、“ERPパッケージ”というより、“ERP機能を備えたフレームワーク”と呼ぶほうがふさわしいソリューションだ。 水産卸、機械・工具卸向けの必須機能はしっかりとテンプレート化しつつも、導入後の機能追加がしやすいフレームワークを採用し、テンプレートで対応できない新機能への要望に、柔軟かつ迅速に対応できるのだ。また、M&A後のシステム統合でもフレームワークを介せば調整負担を軽減できる。 さらに「Linkware」は、市販されている電子帳簿、自動FAXといった卸売の業務効率化に役立つ製品とカスタマイズなしで連携が可能だ。 「Linkware」は、これまでになかった業務や、新たなビジネスに挑戦する企業のチャレンジスピリットに応えるソリューションとして評価されているとのことだ。

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4.医薬・化粧品製造業での、専門的な薬事規制への対応
-中堅医薬製造業向けERP「JIPROS」

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    「医薬・化粧品製造業」の悩み・解決策

ヒトの健康状態の維持改善に直接関わる医薬・化粧品業界では、厚生労働省をはじめ、国内外の規制当局が定めた医薬品・医薬部外品の製造管理、および品質管理基準「GMP(Good Manufacturing Practice)」に基づく製造プロセスの構築が必達である。 査察の結果次第では、最悪免許取り消しの状態も招きかねない。

「厳しい薬事規制に対応しつつ、システムのコストが抑えられるソリューションはないか?」 ある中堅医薬品製造企業からの要望は、矛盾する2つの課題を孕んでいた。 医薬品業界では、GMPという厳しい製造管理、品質管理基準への対応が必須要件となって久しいが、 利用している生産管理システムの機能が十分でなく、苦労されられている中堅・中小企業は少なくない。 その一方で、内部統制など経営品質の向上や受注や納期の計画変更への柔軟な対応など、運用のレベルアップを図りたいという企業も増えているのだ。

この要望に対しNTTデータグループは、中堅医薬製造業向けERP「JIPROS(ジプロス)」を紹介した。 「JIPROS」は医薬・化粧品・健康食品製造業に特化したERPパッケージで、標準でGMPの製造管理・品質管理基準への対応機能、中堅プロセス製造向けの生産・販売・原価管理機能を装備している。 NTTデータグループは、これまでの実績で獲得した医薬業界における豊富な知見を活かし、現状の業務運用を検証しながら、「JIPROS」をベースに短期間で厳しい基準に準拠した新たな生産モデルの構築を実現した。実績に裏打ちされたコンサルティング能力も同社グループの強みの一つだ。 現在は、同じ企業から「次の課題は複数のシステム間でデータ共有し、全社レベルで活用すること」という相談を受け、「JIPROS」を中心としたデータ分析モデルの検討に着手しているそうだ。

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デジタル時代に、企業がデータを徹底活用するために
-中堅・中小企業の「ERP+デジタル」を実現するERP経営改革パートナーの役割

今回の記事では、特定の業界・業種の悩みとそれに対応するNTTデータグループのERP導入エピソードを紹介した。 いずれのエピソードにも共通していえるのは、それぞれの企業が抱える悩みや課題を、ERPの導入前から運用に至るまで、データ徹底活用の観点から分析し、解決策を志向していることだ。

冒頭で述べたとおり、中堅・中小企業が経営課題を解決するうえで重要なポイントは、まず各業界・業種に特化したERPソリューションを選ぶことである。

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    デジタル技術とこれからの企業・業務の改革

そして、ERPを経営改革に向けたデータ徹底活用の基盤として位置づけ、さまざまなデジタルソリューション、たとえばRPA、BI、IoTと連携させれば、これまでは「あいまい」にしか捉えられなかった経営課題を、データを通じてより鮮明に「可視化」できるのだ。

NTTデータグループは、データの徹底活用を通じて個社ごとに最適な経営改革を実現するパートナーであることを自らの役割としている。個々の企業のニーズと経営改革のキーとなるデータを見極め、個社ごとに最適なソリューションの提供を通じて経営改革に貢献することが、中堅企業のERP経営改革パートナーを指向するNTTデータグループの信条だ。

前回の記事でも紹介した通り、全国規模で万全のサポート体制も構築されている。 「地方エリアだから……」、「特殊な業界だから……」と二の足を踏んでいた企業も、まずは現状の課題を相談するところから、始めてみてはいかがだろうか。

●お問い合わせ
株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部 グループ事業統括部
事業推進担当 首都圏マーケティングセンター
tokyomc@am.nttdata.co.jp

「WinActor®」は、NTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。
「DX Suite」は、AI inside株式会社の登録商標です。
「BeAd」 は、株式会社NTTデータ九州の登録商標です。
「Biz∫」は、株式会社NTTデータ、株式会社NTTデータビズインテグラルの登録商標です。
「SCAW」は、株式会社NTTデータの登録商標です。
「Linkware」は、株式会社NTTデータ関西の登録商標です。
「JIPROS(TM)」は、日本電子計算株式会社の商標です。

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