第59回で解説したように、
人は煩悩という「心に染み付いた癖」によって、
無意識に「苦しい」「思いのままにならない」方向へ向かってしまいます。
では、どうしたらいいのでしょうか?

ブッダはそんな状態から解放される手段を4つの真理に分けて説明しました。
これを「四諦(したい)」といい、以下のような内容となっています。
(「諦」は真理を意味する言葉です)

「苦諦」:生きることそれ自体が「苦」
すなわち「思いのままにならないこと」に満ちているという真理
これは、具体的には週刊こむぎでも取り上げた「八苦」のことを指します。

「集諦(じったい)」:苦には原因があるという真理
その原因は「渇愛」と呼ばれ、物事に執着する心のことを指します。
欲望を持ったり、執着することが多いほど、
思い通りにならず不満足に感じる機会も多くなります。

「滅諦」:苦は滅することができるという真理
苦に原因があるのであれば、
その原因に対処することで解決できるというわけです。

「道諦」:苦を滅する方法があるという真理
自分の考え方や執着心をコントロールして、苦の原因に対処する方法です。
具体的には「八正道」という、
8つの正しい修行の方法・心構えのことを指します。

ブッダは「苦」というとても大きな問題に対して細かい分析を重ね、
積み重なった大盛りのホットケーキを
ナイフとフォークで少しずつ切り分けて食べるように、
いくつもの部分や段階に分けて解決策を探していきました。

大きな課題や漠然とした問題に直面したとき、
その全体を見てしまうと「どうにもならないのではないか」
という気がしてきてしまうもの。
小さな部分に分けて、
できそうな所・わかりそうな所から段階を追って対処していけば、
そんな不安もやわらいでいくはずです。

大きなホットケーキは一口では食べられません。
小さな目標をクリアしながら、少しずつ自分をゴールへ導いていきましょう。

■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。