先週、Appleの開発者向けイベントWWDCの基調講演が配信されました。例年、macOS、iOS、iPadOS……と各OSが順番に紹介されていくスタイルが恒例でしたが、今回は全てのOSを横断して、大きく4つのポイントが紹介されました。もっとも大きく扱われたのが「Apple Intelligence」と「Siri AI」の刷新です。

  • デバイス横断で搭載される、新しい「Apple Intelligence」と「Siri AI」

    デバイス横断で搭載される、新しい「Apple Intelligence」と「Siri AI」

AIで出遅れるApple、今年こそ巻き返せる?

Appleは昨年のWWDCでもAI機能の強化をアピールしていました。しかし9月の新OSリリース後、ある程度の進化はあったものの、成長著しいAI新興各社と比べて出遅れ感を拭うには至りませんでした。

今回発表された新しいApple Intelligenceの大きなポイントは、GoogleとのコラボレーションによりAppleのAI基盤にGeminiのテクノロジーが活用されたことです。ざっくり言えば、Geminiのような性能を持ちながら、iPhoneやMacなどAppleのデバイス&アプリ類とがっちり連携できるAIになった、というイメージです。

  • Apple Intelligenceの中核となるモデルは、Googleとのコラボで開発されました

    Apple Intelligenceの中核となるモデルは、Googleとのコラボで開発されました

例えば、「写真」アプリでは被写体の角度・構図を後から編集できる「空間リフレーム」がAIによって可能になります。また、余計なものを消す「クリーンアップ」など既存の機能も強化されます。

  • 写真の構図を後から変更する「空間リフレーム」。AIが自然な形で角度を変えた構図を補完します

    写真の構図を後から変更する「空間リフレーム」。AIが自然な形で角度を変えた構図を補完します

他にも、Safariのタブをスマートにまとめてくれたり、話すだけでカレンダーに予定を追加してくれるなど、ユーザーが持っている情報を使いながらアプリの使い勝手をサポートする機能がデモで紹介されました。

会話の音声もより自然になり、話す速さや抑揚の幅などのカスタマイズも可能になります。

  • Siriのしゃべり方をカスタマイズ。日本語の話し方もよりナチュラルになるでしょうか

    Siriのしゃべり方をカスタマイズ。日本語の話し方もよりナチュラルになるでしょうか

多くの人がAI慣れし始めている中で、どこまで出遅れ感を払拭できるのか、注目です。

Siriは賢くなるの?

AIが浸透する中、いま利用が進んでいるのが「AIエージェント」です。単純なチャットボットや画像生成ではなく、外部ツールを操作してタスクを自律的に実行する高度なAIシステムのことです。

長年”音声アシスタント”としてOSに搭載されてきたSiriは、おそらくそのポジションを目指していたものと思われますが、こちらもAI進化の波に乗りきれない状況が続いていました。

しかし、Apple Intelligenceの進化によってその状況も変わるかもしれません。

デモでは、好きなミュージシャンのコンサートの予定を調べ、チケット購入方法を調べ、抽選の開始日にリマインドを設定する、といった一連の作業がSiriとの会話だけで完結する様子が紹介されました。

  • アプリを開くことなく、Siriとの会話だけで一連の作業を完結

    アプリを開くことなく、Siriとの会話だけで一連の作業を完結

また、「これはどこ?」と聞けば画面を認識して写っているランドマークを調べ、続けて友人の家を経由した経路も検索するなど、オンラインの情報とiPhone上のプライベートな情報、そして各種アプリを連携した操作が可能になるようです。

  • Siriが画面に表示されているものを認識。連絡先やメッセージなど、パーソナルな情報も活用してタスクをこなします

    Siriが画面に表示されているものを認識。連絡先やメッセージなど、パーソナルな情報も活用してタスクをこなします

名前も「Siri AI」となり、初めて単独のアプリの形で提供されます。従来通りサイドボタンや「Hey、Siri」で始めることも可能で、これらの会話履歴は同じApple IDで使用する複数のデバイス間で共有されます。

誰でも使える? 料金はかかる?

多くのAIサービスでは、プラン別に1日あたりの使用トークンに上限が設定されていますが、Apple IntelligenceやSiri AIはどうでしょうか。基調講演の説明によると、画像生成など一部の機能は1日の利用に上限が設けられるようです(iCloud+の有料プランを使えばその上限が引き上げられます)。

一方、デモで紹介された、アプリ内のAI機能については特に言及がなく、こちらは制限を気にせず使うことができそうです。ただし、通常よりもバッテリーを多く消費することが予想されます。また、一部の機能は最新モデルのデバイスのみで使用できます。

  • 現在Apple Intelligenceに対応しているモデルなら新しいSiri AIも使用可能。ただし、一部の機能は上位モデルのみ対応

    現在Apple Intelligenceに対応しているモデルなら新しいSiri AIも使用可能。ただし、一部の機能は上位モデルのみ対応

Apple Intelligenceの提供時期については「最新のソフトウェアリリースで無料で提供されます」と説明されました。言葉通りに受け取れば、9月の新しいOSリリースに合わせて提供されることが見込まれます。日本語版も含まれます。

Siri AIについては「ベータ版が年内公開」とのことなので、OSリリース以降のアップデートで追加されることが予想されます。こちらも、Apple Intelligenceと同じく日本語に対応すると考えられます。

AIは3ヶ月もすればずいぶん景色が変わる業界ですが、Appleの新しいOSが出る頃、業界の状況はどうなっているのでしょうか。