Appleは6月8日(米国時間)、音声アシスタント「Siri」を刷新する「Siri AI」を発表した。GoogleのGeminiファミリーの技術を採用した次世代Apple Intelligenceを基盤とし、従来の音声操作中心のアシスタントから、会話形式で質問に答え、画面上の内容やユーザーの個人コンテキストを踏まえて操作を支援するAIアシスタントへと再設計された。

個人の文脈、画面認識、Web知識を組み合わせる

Siri AIは、次世代Apple Intelligenceを中核に再設計された新バージョンという位置付けである。Appleによれば、会話能力とアシスタント能力が大幅に強化されており、ユーザーの日常的なタスクや情報検索を、より自然なやり取りで支援するようにプラットフォームへ組み込まれる。

同社は、新しいSiri AIの核として以下の3つの能力を挙げている。

  • パーソナルな文脈理解:ユーザーのメッセージ、メール、写真など、デバイス内の情報を横断的に参照し、個人の予定や人間関係に基づいて必要な情報を提示する。Appleは例として、「友人がメッセージで勧めてくれたレストランを探す」「古いメールからホテルの予約番号を取り出す」「最近の旅行で家族と撮影した写真を表示する」などを挙げる。これにより、ユーザー一人ひとりの状況に応じた支援が可能となる。
  • 画面上の認識:ディスプレイに表示されているコンテンツを認識し、その内容に関する質問への回答や、アプリをまたいだ操作を実行できる。たとえば、持ち寄りパーティーの招待メッセージを受け取った際、Siriと持っていく料理を相談し、そのレシピをメモアプリに保存するといった一連の操作を行える。
  • 広範な世界の知識:Web上の幅広い情報にアクセスし、さまざまなトピックについて最新情報を踏まえた回答を生成する。従来の検索結果のリンクを並べる方式とは異なり、要約された具体的な回答として提示される。たとえば、次回の日食の日時や場所、特定のミュージシャンが地元に来演する時期を尋ね、さらに行き方を質問するなど、会話を通じて情報収集を掘り下げられる。

Siri AIにおける大きな変更点の一つが、独立した「Siri」アプリの提供である。ユーザーは過去の会話履歴を確認したり、新しい会話を開始できる。会話履歴はiCloudを通じてユーザーの各デバイス間で同期され、Macで始めた会話をiPhone、iPad、Apple Watch、Apple Vision Proで続けられる。Siriを一時的な音声コマンドの窓口ではなく、継続的な会話インターフェースとして扱う変更といえる。

  • Siriアプリ

    Siriアプリ

音声体験と音声入力も更新される。Appleによると、対応デバイスでは、高度なオンデバイスモデルにより、Siriの声の表現力が向上。音声入力も精度が高まり、話した内容をより整ったテキストとして入力できるようになる。大文字・小文字、句読点、書式なども自動的に処理する。ユーザーは話す速度や表現の度合いを調整することも可能になる。

  • Siriの音声のペースや表現力をカスタマイズ

    Siriの音声のペースや表現力をカスタマイズ

文章作成支援もSiri AIに統合される。ユーザーは文字を入力できる場所でSiri AIを利用し、必要な内容を説明して下書きを作成したり、既存の文章への修正内容を指示できる。メールやメッセージでは、相手ごとの普段の文体や句読点の使い方を反映した文章作成にも対応する。たとえば、上司には短い箇条書きで返信することが多い場合、Siriがその傾向に沿った下書きを作成する。

提供時期とシステム要件

発表後に、開発者向けのテスト提供が、iOS 27、iPadOS 27、macOS 27、visionOS 27で開始された。watchOS 27向けにも今後のベータ版で開発者テストを開始する。一般向けには今年後半に英語からベータ提供を開始し、順次ほかの言語へ対応を拡大する予定である。

iOS 27、iPadOS 27、macOS 27、watchOS 27、visionOS 27のApple IntelligenceとSiri AIは、以下のデバイスで利用できる。

  • iPhone 16シリーズ以降、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max
  • A17 Pro搭載iPad mini、M1以降のiPad
  • M1以降のMac
  • Apple Vision Pro
  • Apple Watch Series 10以降、Apple Watch Ultra 2以降、Apple Watch SE 3(Apple Intelligenceを有効にしたiPhoneとペアリング)

ただし、最もパワフルなオンデバイスモデルと、それにより利用可能になる先進的なオンデバイスAI機能(表現力豊かなSiriの音声、より高精度な音声入力など)は、iPhone Air、iPhone 17 Proシリーズ、M4以降のiPad(メモリ12GB以上)、M3以降のMac(メモリ12GB以上)に限られる。このモデルと表現力豊かな音声は、M5を搭載したApple Vision Proでも利用できる。