フォルダブルスマホ「OPPO Find N6」が発売された。実機をしばらく使わせてもらったが感動ものだ。なにしろフォルダブルで世界一フラットなディスプレイを持ち、ハッセルブラッド社との共同開発カメラシステム、8.9ミリ厚のボディ……と、その枚挙に暇がない数々の特徴はOPPOが「時代をひとつ更新した」と表現するのに十分だ。なにしろ開いたときの折れ目がほとんど視認できないのだ。これは驚愕だ。
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折りたたみ時の「OPPO Find N6」は、もはや「板状スマホそのもの」の厚みまで到達した二つ折りスマホだ。折れ目が消滅したOPPO Find N6は二つ折りスマホの新たな時代を象徴する製品といってよさそうだ
液晶画面を二つ折りにする技術を世界で最初に製品化したのはRoyoleという中国のスタートアップ企業で、2018年10月に「FlexPai」を発売している。展示会などでのプロトタイプ披露はそれまでにもあったが、製品として登場したのはこれが最初だ。ちなみにこの製品は、折りたたむ内折りではなく、表紙、裏表紙に相当する外側にディスプレイを持っていた。
2019年はフォルダブル元年とも呼ばれる年だ。衝撃的な発表が相次いだ。同年2月にSamsung Galaxy FoldとHuawei Mate Xが発表されている。この時点でSamsungは内折り、Huaweiは外折りを採用している。
さらに、2019年11月にはmotorola razrが発表されている。実機が北京で開催されたレノボのイベントで披露されたときに実際に手に取った記憶がある。razrが目指したのは、普通のスマホを折りたたんでコンパクトにする「小型化」だった。先行する各社の二つ折りスマホは普通のスマホに、より大きな画面を実現するための手段として二つ折りを提案してきた。この製品が採用した水滴型ヒンジは、のちに各社の薄型化と折りたたんだときの隙間ゼロを実現するスタンダードとなっている。
こんな具合に2019年のフォルダブル元年は、エポックメイキングな二つ折りスマホが数多く世に出た年だったが、それは「発売延期と耐久性の向上、完成度への挑戦」というテーマを追求した年でもあった。ちなみに、Samsung Galaxy Foldのグローバル発売は2019年9月、Huawei Mate Xは同年11月だった。2月に発表されたフォルダブルスマホの発売が、秋までずれ込んでいる。この期間は、両社ともにディスプレイの破損が問題になり、発売が延期されている。
こうしてできあがったフォルダブルスマホの市場だが、翌年以降、世界は新型コロナウイルス禍に巻き込まれ、想像もしなかった暮らしを強いられることになったのは記憶に新しい。
だが、2020年には世界初の折りたたみPCがLenovoからThinkPad X1 Foldとして発売されている。2022年には大型化されて実用性はさらに高まっている。また、2022年末にはASUS Zenbook 17 Fold OLEDが発売されている。開くと17インチディスプレイ、閉じれば12.5インチという「巨大とコンパクト」を両立させた製品だった。つまり、モバイルの機動性と据え置きによる生産性向上を一台で解決しようとする試みだ。この流れは、スマホでの拡げるか、折りたたむかというフォームファクタの流れと同様だ。
ただ、折りたたみスマホには「折り目が目立つ」「厚くて重い」という二つの大きな課題がつきまとった。
ところが、今回のOPPOは「ゼロフィール・クリース(Zero-Feel Crease)」という技術を使い、ヒンジの構造とディスプレイ素材を見直し、画面を開いたときの折り目が視覚的にも触覚的にも「ほぼゼロ」というフラットさを実現している。目立つ折れ目を幾何学構造で解決した時代から、素材の復元力とナノ単位の製造精度で解決する時代に更新されたのだ。
しかも、折りたたんだ状態の厚みが9ミリを切っている。つかんだとき、ポケットに入れたときの違和感がほぼない。前回紹介したGoogle Pixel 10aの厚みが9ミリだったことを考えると、最新のフォルダブルは「板状スマホを二枚重ねたもの」ではなく、もはや「板状スマホそのもの」の厚みまで到達した。iPhone 17はさすがにそれよりは薄いが、それでも7.95ミリだ。
日本における折りたたみスマホは、Samsung GalaxyとGoogle Pixelシリーズが定番だったが、そこに強力なライバルが登場した。OPPO Find N6は同社として初めて日本市場に投入された折りたたみモデルだからだ。これで市場はますます活性化することになりそうだ。
二つ折りスマホが登場した2019年当時は、17ミリ近い厚みで重量も250gを大きく上回っていた。だが、このフォームファクタの最新は、
- Galaxy Z Fold7:厚み 8.9mm / 重量 約215g
- OPPO Find N6:厚み 8.9mm / 重量 約225g
- Pixel 10 Pro Fold: 厚み10.8mm / 重量258g
といったスペックまで進化した。
元年である2019年から2026年現在まで約7年。SamsungとOPPOが「板状スマホ並みの薄さ(9mm)」を達成し、物理的な限界に達しつつある中で、Googleは「実用性のために厚みを維持・増加させる」という選択をしているともいえる。「薄さの追求」という一段階目が終わり、次の「性能・バッテリーの熟成」という段階に入った象徴的な出来事として捉えることができそうだ。
その一方で、三つ折りスマホも台頭しつつある。これはスマホとタブレットフォームファクタの融合でもある。また、Appleの参入も気になる要素としてある。こうしてコンピューティングはどんどん再定義を繰り返していく。二つ折りの「完成」と三つ折りの「挑戦」。2026年は自分のライフスタイルに合わせて「何段階に折るか」を選べるとともにその折り目が消えた、きわめて贅沢な時代になった年として、二つ折りフォームファクタ登場の2019年とともに後年語られることになりそうだ。







