アップルが、アメリカの本社Apple Parkで発表会イベントを開催し、アップルとして初めての折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」をはじめ、「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」を発表しました。イベントの様子を振り返りながら、ふたつのiPhoneのほかに発表された新製品のファーストインプレッションをレポートします。
やはり売れ筋はiPhone 18 Proシリーズか
基調講演の冒頭、9月にCEOへ就任したばかりのジョン・ターナス氏が登壇しました。ターナス氏は堂々とした語り口で、自身がアップルで過ごした25年を振り返りながら、「これからも多くの人々の生活に、意味のあるインパクトを与えるものをつくりたい」と宣言しました。アップルで長年にわたりハードウェア開発を率いてきたターナス氏の、ものづくりへの姿勢を象徴するプロダクトがiPhone Duoをはじめ、今回発表された数々の新製品といえます。
最初に、iPhone 18 Proシリーズの手応えを報告します。どちらも2025年モデルのiPhone 17 Proシリーズから25,000円の値上げになり、6.3インチのiPhone 18 Proも256GBモデルのスタート価格が20万円を超えてしまいました。でも、やはりiPhoneシリーズの中で最も売れることが予想される中核モデルであることには変わりがないと思います。
iPhone 18 Proシリーズの大きな進化はカメラ、A20 Proチップによる全般の処理性能向上、バッテリーの持続時間が長くなったことの3点です。
本体は、アルミニウム製の筐体を一体構造として仕上げるユニボディ設計を継承。カラーバリエーションはブラック、シルバーのほかに、新色のグレイシャーとバーガンディを加えた全4色展開です。バーガンディは、和の色に例えるならば葡萄色(ぶどういろ)に近く、落ち着いた雰囲気の赤系iPhoneです。
可変絞りカメラで表現力が向上
最も分かりやすい新機能は、48MP Fusionメインカメラに搭載する可変絞り機能です。17 Proのメインカメラは、絞り値がF1.78で固定されていました。新しい18 Proは、6枚羽根の機構を備え、F1.48、F1.8、F2.8、F4.0を自動、またはカメラアプリに新設された「プロモード」によるマニュアル設定から切り替えることができます。暗い場所では絞りを開いて光を多く取り込み、風景写真や集合写真では絞り気味にして、焦点が合う奥行き範囲を広げられます。
プロモードでは、シャッタースピードやホワイトバランスなどのマニュアル操作にも対応しています。もちろん、従来通りProモデルとはいえ「シャッターを押すだけ」でシンプルにきれいな写真やビデオが撮れ、もちろんフルオート撮影の機能も使えます。
カメラアプリには、プロモードの設定メニューがデフォルトでは常時表示されているので、不要なものは1つずつ外すこともできます。
パフォーマンスと効率性を高めたA20 Proチップ
A20 Proは、2ナノメートルプロセスで製造されたチップです。6コアCPU、7コアGPU、そして32コア相当のデュアル16コアNeural Engineというユニークな構成を採用し、GPU側だけでなくCPU側にもNeural Acceleratorを搭載しています。
さらに、iPhoneとして初めて6チャンネルのメモリインターフェースを採用したことで、メモリ帯域幅は従来比で50%拡大しました。これによりAI関連の処理だけでなく、カメラにおけるデジタルイメージング処理についても、より高速かつ安定したパフォーマンスが期待できます。
チップの構造も刷新しました。従来はDRAMをSoCの上に重ねていましたが、A20 Proでは横に並べ、DRAMをSoCの放熱経路から外しています。Apple MシリーズのSoCに近い発想をiPhone向けに極薄化した設計です。17 Proの3倍の表面積を持つベイパーチャンバーと組み合わせ、持続性能は17 Pro比で最大40%向上。ゲームや動画編集、オンデバイスAIなどで差が現れるといいます。
ビデオ再生時間は、18 Proが最大33時間から36時間、18 Pro Maxが最大39時間から45時間に伸びました。さらに、有線充電のパフォーマンスが強化され、約15分で50%のチャージが可能です。
数年前のiPhoneユーザーは買い替え時がきた
ハンズオン会場では、iPhone 18 Proシリーズのカメラで撮った写真をパソコンで確認することはできなかったので、また改めて実機レビューの機会に確認してみたいと思います。
ディスプレイのトップにあるDynamic Islandには、最大3つのライブアクティビティが表示できます。iPhone 17 Proでは最大2件まででした。
販売価格は、iPhone 18 Proが219,800円から、iPhone 18 Pro Maxが239,800円からです。iPhone 17 Proシリーズは今年7月に一度値上げされているので、発売当時の価格と比べるとiPhone 18 Proは4万円、iPhone 18 Pro Maxは45,000円もトータルで高くなりました。
現在、iPhone 17 Proシリーズを使っている方であれば、可変絞り機能を備えたカメラや、長時間にわたる高負荷な処理を安定してこなせる性能が必要でない限り、急いでiPhone 18 Proシリーズへ買い替える必要性はそれほど大きくないかもしれません。
一方で、2020年発売のiPhone 12 Proや、翌2021年のiPhone 13 Proを使い続けてきた方なら、カメラや処理性能をはじめとするiPhone 18 Proの進化を実感しやすいでしょう。この機に買い替える価値はあると思います。
iPhone Duo、初の折りたたみながら完成度は高め
iPhone Duoは閉じると5.4インチ、開くと7.6インチのアウター/インナーディスプレイを搭載しています。外側・内側のディスプレイを同じアスペクト比に揃えたことで、本体を閉じた状態でアウターディスプレイで視聴していたコンテンツが、大きなインナーディスプレイにそのまま移行して見られるような感覚があります。
ハンズオン会場で実機を試すと、本体ヒンジの開閉がスムーズで安定していることとあいまって、表示の切り替わりがとても自然に感じられました。
MacやiPad Proがオプション仕様として選べるNano-textureガラスとは異なり、iPhone Duoはインナーディスプレイに「Nano-texture仕上げ」を施すことで反射を抑えるほか、ヒンジ部分の折り目を目立ちにくくする効果をもたらします。実際にコンテンツを表示すると、ヒンジ部分の沈み込みはほとんど分からないほど。なお、iPhone Duoのインナーディスプレイは、上から保護フィルムを貼ることが推奨されていません。
インナーディスプレイは画面を左右分割表示にして、片側ずつ1件のアプリを起動するマルチタスキングに対応しています。アプリ間でファイルのドラッグ&ドロップがスムーズにできたり、iPhoneらしい操作感には惹かれるものがあります。
その一方で、左右画面の分割比率が変えられなかったり、同時に起動できるアプリが基本的には2件に限られます。ライバル社のフォルダブルスマホを知っていると、やや遅れている感じがしてしまいます。
ただ、アップルは年内にiPhone Duoの外側・内側ディスプレイの両方で、USB-C対応のApple Pencilによる手書き入力に対応する計画を発表しています。専用のデジタルスタイラスペンによる手書き入力に対応する折りたたみスマホ自体は過去に前例もあるので、それ自体はさほど珍しいものではありません。でも、iPhone Duoが「iPadライクな使い心地」を実現すれば、256GBモデルで364,800円という高価なデバイスですが、1台でiPhoneとiPad miniを兼ねることの魅力が増してきます。
センシングシステムを大改革したApple Watch
Apple Watch Series 12とApple Watch Ultra 4は、外観や基本設計を前世代から受け継ぎながら、ワークアウトやヘルスケアの機能に関連するデータを、より細かく捉えられるスマートウォッチに進化しています。
その理由は、新開発のヘルスセンシングシステムと、パフォーマンスと効率性の両方を高めたApple S11チップが採用されているからです。
心拍数をバックグラウンドで5秒ごと、心拍変動(HRV)を5分ごとに測定して、そのデータをアクティビティ、睡眠スコア、トレーニングの負荷と組み合わせながら、「準備度」として提示する新機能があります。単に運動量を増やすのではなく、ユーザーが休息を取るべき期間を教えてくれるアプリが、新しいApple Watchに加わります。新開発のヘルスセンシングシステムを必要とする機能なので、2025年以前に発売されたApple Watchには対応していません。
Series 12では、2019年以来となるセラミックケースの復活も印象的です。パールホワイトとナイトブルーの滑らかな光沢は、Apple Watchをさらに上質でファッショナブルな腕時計として高みに導きそうな魅力があります。
新しいUltra 4は、最大50時間の通常使用と、最大45時間の屋外ワークアウト記録に対応するなど、バッテリー性能が向上しました。
オーディオインテリジェンスに含まれるSiri AIを活用する文字起こし機能など、一部のユニークな機能はアメリカで先行投入され、日本では導入が未定とされているものもあります。したがって、新しいApple Watchの買い替えは焦る必要はなく、Series 12の新しいカラバリを吟味したり、新しいヘルスケア機能が自分に必要なものかを入念に検討してから購入を決めてもよいと思います。
お買い得すぎるAirPods 5
最後にAirPods 5です。開放型のハウジングを採用しながらアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載する、スタンダードクラスのワイヤレスイヤホンです。価格は23,800円で、ワイヤレス充電や本体タッチセンサーによる音量調整の機能を追加したモデルが27,800円。AirPods 4は、ANCなしのモデルが23,800円だったので、アップルはとても戦略的な価格設定で攻めてきた印象があります。
ANCは、音響面でのチューニングを練り上げ、外部音取り込みはアルゴリズムのブラッシュアップにより、それぞれパフォーマンスを向上しています。特に、ANCは開放型のイヤホンなのに、よくこれほどまでに低音域から高音域までバランスよく環境ノイズを抑えられるものだと感心するほど高性能でした。サウンドも然り、低音の力強さと、中高音域のディティールの表現力がともに高いレベルに到達しています。同価格帯のワイヤレスイヤホンに恐るべき強敵が出現したといえるでしょう。





















