AppleからiPhone 18 Pro、Pro Max、Duoが発売された。やはり注目されているのは二つ折りのDuoだろうが、サイトで仕様などを確認すると、各製品の充電に関する気になるスペックが見つかった。約15分で最大50%充電ができるとあるのだが、その注として、その有線高速充電には、60W対応のUSB-CケーブルとUSB PD 3.1(またはそれ以上)の可変電圧供給(AVS)電源アダプタで対応とある。従来の一般的なUSB PD充電器(35W程度)を使った場合と比べ、バッテリー残量が少ない初動の段階において、ほぼ2倍のスピードで一気にチャージできる計算だ。
情報が分散しているのでわかりにくいのだが、あちこちを参照してまとめてみると、40Wダイナミック電源アダプタ(最大60W対応)を使えば、説明通り、15分で50%の充電ができるようだ。
この充電器が、これまでの充電器とどう違うかというと、AVSに対応している点だ。その純正製品としてAppleのA3351アダプタが挙げられている。サードパーティ製品であっても、一般規格要件として60W対応のUSB-CケーブルとUSB PD 3.1(またはそれ以上)の可変電圧供給(AVS)電源アダプタであれば最大速度での充電が可能であるということだ。
Appleの説明では最大60Wの出力をダイナミックに供給するように設計されているアダプタを「40Wダイナミック電源アダプタ(最大60W対応)」としているようだ。そして、その要件を満たすために求められるのが電圧を正確に調整して充電効率を一段と向上させる可変電圧供給(AVS)機能ということのようだ。60W対応の充電器は各社からいろいろと発売されているが、それらの多くはPPS対応をうたうものか、あるいはPPSにも対応していない製品だった。
AVSはAdjustable Voltage Supplyの頭文字をとったもので、USB PD(Power Delivery)の規格において、出力電圧を一定範囲内で調整することができる。PPSほど細かい電圧制御を行わないが、その代わり規格としてより高出力領域での運用が考慮されている。AVS規格の採用・拡張とともに、短時間のピーク電流・バースト電力を許容する設計が可能になった。40Wダイナミックで最大60Wというのはそういう意味だ。
つまり、基本的には40Wの小型軽量な充電器ではあるが、瞬間的に充電される側が大きな電力を要求してきたときにも電圧降下やシャットダウンを起こさずに持ちこたえることができる。通常は20V出力で2Aが連続して供給されるが、バースト時には一時的に電流を3Aまで引き上げて供給できる。
今後は、AVS対応製品が急速に増えていくことになりそうだ。対応アダプタもどんどん出てくるだろう。実際、先日、ESRというApple製品のアクセサリ類を数多く手がけているメーカーの新製品発表会にでかけてきたが、しっかりと、AVS対応の製品が紹介された。Xtend 45W 巻き取り式ケーブル充電器 ブラック - JPプラグがそれで、45W対応でピークには60Wに対応する。95cmの巻き取り式ケーブルが一体化されているのも使い勝手がいい。仕様としても3.0A DPSと表記されている。同社独自の表現だが、DPSはDynamic Power Supplyの頭文字で、Appleのアダプタが「ダイナミック」を称する考え方にも通じる。
AVSとPPSはアダプタ内で共存できる。ESRの製品も両対応だ。だが今後のアダプタはAVSのみの対応にシフトしていくだろう。というのも、USB PD 3.2では、27Wを超える充電器において「SPR AVS」のサポートが義務化されたからだ。それにAVSのみの対応の方が、ハードウェア製造原価は明らかに安上がりだ。PPSを切り捨ててAVSのみに対応するコスト最優先の製品、AVS+PPS両対応の汎用アダプタの両方が当面は併存していくことになる。アダプタがAVSに対応していてもスマホが未対応では意味がない。今回のiPhoneは対応デバイスの先駆けともいえる存在であり、USB PD充電の世界を次のステージへと押し上げる契機になりそうだ。
AVSは新しい規格だが、ユーザーから見れば「小型充電器でも必要なときだけ大きな電力を供給できる」仕組みと考えておけばよい。そうはいってもただでさえややこしいUSB PDやUSB-Cケーブルの規格だが、またひとつ、覚えなければならないキーワードが増えた。PPSに加えてAVS、そしてDPSも頭に入れておいてほしい。そして電圧(ボルト)と電流(アンペア)を掛け合わせれば電力(ワット)になる。今まで以上に、製品スペックを吟味する必要がある。どんなアダプタ製品でも本体には詳しい仕様が記載されているが、本体を手にとって確認できるとは限らない。未開封のパッケージやウェブの製品ページを参照すれば、詳細なスペックが確実にわかるようにしておいてほしいと各社にお願いしたい。




