本日より公開となった<超>実写版『モアナと伝説の海』(配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)に出演しているドウェイン・ジョンソンが来日。プロモーション活動で大忙しの中、作品への思いを語ってくれた。
ーー映画のプロモーションでの来日は、『ヘラクレス』(2014)以来、12年ぶり。その間にもアニメ版の『モアナと伝説の海2』(2024)など多くの作品に出演していたが、来日、とはならなかった。
ドウェイン 映画のプロモーションで来日するのはすごく久しぶりで12年ぶりになるのですけれども、実はベニー・サフディ監督の『スマッシング・マシーン』(2025)の撮影で訪れてはいました。日本に来るのはいつも楽しいので、行く機会があると、とても嬉しくなります。もしかしたらご存じない方もいるかもしれないので、伝えますと、初めて来たのが2000年代初頭で、当時はプロレスラーとして活動していたので、その時にいろいろ巡業で日本全国いろんなところで試合などに出場させていただきました。
ーーそう、今となっては、俳優、映画のプロデューサー業の方がメインとなっている観はあるが、ドウェインはプロレスラーでプロレス団体・WWFの顔役でもあったのだ。発言にある2000年代初頭の来日というのは、WWE(WWFから改称)のハウス・ショーでのこと。2023年、武藤敬司の引退試合の対戦相手として候補に挙がっていたのだが、残念ながら実現しなかった。父親のロッキー・ジョンソンもプロレスラーで、日本プロレス〜新日本プロレスのリングに上がっている。
ーー『モアナと伝説の海』については、アニメ版からの続投となるが、その分、キャラクターへの愛着だとか理解が深まっている部分はあるのだろうか。
ドウェイン これでマウイを演じるのは3回目だったわけですけれど、そのキャラクターは、祖父にインスパイアされています。"ハイ・チーフ"の愛称で親しまれたピーター・メイビアというプロレスラーで、日本では60年代に国際プロレス(マイクパフォーマンスで有名なラッシャー・木村、浜口京子の父であるアニマル浜口らが在籍)で活躍して、70年代後半には、アントニオ猪木さんの新日本プロレスのリングにも立っていました。私も祖父が試合に出た同じアリーナで、自分もプロデューサーとして登場する、出場することもできました。マウイというキャラクターは、いろんな特徴があるキャラクターでして、巨漢ですし、チャーミングですし、ものすごいショーマンなところもあるわけなんですけれども、これだけ自分の親族に深くつながっているようなキャラクターを演じるチャンスはもうないと思っていますので、そういう意味では特別な役だと思っております。そして、常にこだわったポイントとしては、太平洋諸島の文化を忠実に描くことでした。
ーー確かに、本作では、キャラクターの名前はもちろん、シヴァタウやタトゥーなど、ポリネシア文化に根ざした描写が多い。また、ドウェインは、マウイと祖父を重ね合わせると、その類似性は驚くほどであり、本当に信じられないほどあるとも発言しており、それは遺産であり、⼈⽣であり、誇りであり、⽂化そのものを象徴していると力説する。映画を見終わった後、もっとポリネシア文化を知りたくなるではないだろうか。
ーー本作では、"You're Welcome(邦題:『どういたしまして』)"を筆頭に、ドウェインの歌唱曲はいくつもある。Tech N9neとのコラボレーションした"Face Off"では、ラッパーとして参加していたりもするが、ドウェインにとって音楽のアプローチはどのようなものなのか?
ドウェイン 今回、とにかく歌って、踊って、そして芝居もしなければならないという、今までにない大変さはありましたね。"You're Welcome"という皆さんが大好きな曲も歌わなければならないということで。『ジュマンジ』シリーズ(2017〜)や『ワイルド・スピード』シリーズ(2001〜)など様々な映画に出てきましたけれど、歌ったりはしませんでしたから(笑)。でもそれはウェルカムな初挑戦で、本当に楽しく歌って役にあたらさせてもらえました。何よりも助かったのが、音楽担当のリン=マニュエル・ミランダが本当にストーリーテリングに歌詞を、音楽をうまくのせていくので、それを頼りにすることができたわけです。
ーーモアナ役のキャサリン・ランガイアとの共演はどのような体験だったのだろうか。
ドウェイン モアナ役のオーディションには3万2,000人を超える応募がありました。配役については、僕は監督に一任していたのですが、ある日、監督が「モアナが見つかったかもしれない」って言ってきたのです。何が良かったのって聞くと、なんかうまく言語化できない様子なんです。言葉にできない何かが彼女にあるんだっていう言い方をしていました。それで実際に僕もそれの言葉を受けて会ってみたのですけれども、本当に監督の言う通り、彼女には、何かがあるのですね適役だと感じました。彼女はこれが映画初出演なわけですけど、こんな大作に挑まなければならないって、まるでモアナを地で行くような挑戦も強いられたように感じだと想像してます。もう一つ面白いことに、彼女は別に歌手ではないんですね。オーディションに来た人の多くは歌唱力を武器にしていたのですが、彼女はどちらかというと芝居に軸を置いていたのです。そこが際立った部分だったのかなと。それで本編中ほとんど二人芝居ですから、その僕と芝居でスパーリングしないといけないし、2人の間のケミストリーが成り立っていないといけない。その状況下で、僕も別に譲歩したり甘やかしたりするつもりはなかったので、それでも立ち向かうことができるのかと見ていたのですが、見事にその挑戦を受けてくれました。
ーーなるほど、もし、<超>実写版もアニメ版と同じように続編が作られるとしたら、ドウェインもキャサリンも年を重ねて次作に出演することになる。そうした時、たとえヒットが約束されている作品であったとしても、加齢による外見変化を想定しないといけないので、出演者にとっても制作陣にとっても、安全圏で居られなくなる。特に、キャサリンの実年齢は、モアナの設定年齢より、すでに結構上なので、そういった意味においても、<超>実写版に出演するのは、二人にとって賭けであり、冒険であり、挑戦ではなかっただろうか。
ーー外見変化といえば、今回、ドウェインはウイッグの装着だけでなく、ボディスーツを着用して演技に挑んだとのことだ。
ドウェイン 試行錯誤でした。というのも、『スマッシング・マシーン』の撮影で2年前に日本に滞在していたのですが、MMA(総合格闘技)ファイターのマーク・ケアーを演じるための体作りをしていたものだから、285ポンド(約129kg)まで増量していたのです。そこから4週間後には本作の撮影が始まるという状況でした。その体型では、マウイのキャラクターにそぐわないんですよ。2か月ぐらいあれば体作りはできたでしょうが、4週間では間に合わないということで、スーツを作りましょうということになりました。手掛けてくださったのがオスカーを受賞しているジョエル・ハーロウです。ボディスーツを着用したことで、CGを描き込む上では好都合になりまして、僕が普通に自分の体でもって演じてたら、タトゥーたちが動くのはそんなにたやすくはなかったでしょうが、ポストプロダクションは確実に進めやすくなりました。ただ、スーツは重くて35ポンド(約16kg)ほどあって、通気性も全然ないので、非常に暑かったし、ウイッグも装着しなければならないで、暑い中、大変な撮影だったのですけれども、最終的に素晴らしい作品が出来上がったので、良かったと思っています。
ーー最後に、もう一度、祖父のピーター・メイビアについて聞いてみた。ピーター・メイビアは45歳という若さで亡くなっていて、ドウェインは彼が亡くなった年齢より、すでに10歳近く年上になっている。祖父を想いながら、どんな風に役作りに挑んだのだろうか。
ドウェイン 祖父はプロレスラーとして、皆さんにとても愛されていて、尊敬されていた存在だったので、その祖父の名前を汚すことのないように、損ねることのないように、リスペクトの念でもって今回の役にアプローチしました。ですので、感情としては、感謝、愛、リスペクト、喜び、こういうことを思い浮かべながら役にあたりました。非常にタフな男ではあったのですが、頑固でもあったのですね。一年ほど体の不調を抱えていました。その中でも、あの時代の男で、かつプロレスラーですから、自分はタフなんだということで咳き込んだり吐血したりしても、なんとか頑張り抜くって言って、医師の面倒になることはなかったんですね。それで祖父が亡くなったことで、逆に生きること、充実した人生を送ること、そして自分の体をいたわることの大切さを意識させられた気がしました。祖父が亡くなったのは自分が10歳の時だったのですが、もう少し歳がいってれば、僕もおじいちゃん病院に行きなさい、一緒に来なさいって言えたのですけどね。
ーー偉大な祖父にリスペクトを込めて演じたというマウイ役、自身の体を通して、先達たちを継承、伝承していくというのは役者冥利に尽きるのではないだろうか。今回、歌うシーンだけでなく、ファイトシーンもふんだんに盛り込まれている。"ハイ・チーフ"の、ロッキー・ジョンソンの魂を受け継いだアクションも間違いなく見どころの一つである。
アニメ版の魅力を引き継ぎつつ、さらにスケールアップした<超>実写版。圧倒的な美しさで捉えられた海、体温が上がりそうな手に汗握るアクションシーン、思わず一緒に歌い出したくなる歌唱シーン、ポリネシア文化に敬意を表した描写と、深く進化した『モアナと伝説の海』を、是非、劇場の大画面でお楽しみいただきたい。
■ストーリー
ディズニーの名作が、10年の時を超えて<超>実写映画に進化した! スケールアップした映像で美しい大海原があなたを包み込み、息づかいまでも感じられる描写でモアナの物語がより感動的になり、究極の癒しと一歩踏み出す元気をくれる──。どんなに悩んだり迷ったりしても、心の声を信じて前へと進む<海に選ばれた>16歳の少女モアナが、変幻自在に姿を変える半神半人の相棒マウイとともに、愛する家族と島を救う冒険を描く、ミュージカル・アドベンチャー!
■役名:出演者
モアナ:キャサリン・ランガイア
マウイ:ドウェイン・ジョンソン
■スタッフ
監督:トーマス・ケイル
製作:リン=マニュエル・ミランダ
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