キーサイト・テクノロジーは5月24日、5G、航空宇宙/防衛および衛星通信で求められるミリ波超広帯域性能のテストを可能とするシグナル・アナライザ・ソリューション「N9042B UXA Xシリーズ」を発表した。

  • N9042B UXA

    シグナル・アナライザ「N9042B UXA」の外観

ミリ波帯の信号は、それよりも低い波長の信号と比べて、IQ変調エラー、位相雑音、歪み、S/N比(信号対ノイズ比)、振幅、位相リニアリティなど信号品質に影響を与える障害を受けやすいという課題があり、エンジニアやメーカーは、製品テストの際にそれらに対処することが求められるようになっている。

同シリーズは、そうした課題解決に向けた解析性能を提供することを目的に開発されたシグナル・アナライザ(スペクトラム・アナライザ)で、シグナル・アナライザ「N9042B UXA」と周波数エクステンダ「V3050A」を組み合わせることで、ハードウェアプリセレクタを用いて、シームレスに2Hzから110GHzまでの周波数範囲の信号(N9042B UXA単体の場合は50GHzまで、外部オプションの利用で1.5THzまで対応可能)を最大11GHzの解析帯域幅(N9042B UXA単体の場合4GHz帯域幅、11GHzは外部のデジタイザを使用した場合)で、明確に表示することを可能としている。

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  • 対応する解析帯域幅と周波数帯域

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  • 周波数エクステンダ「V3050A」の概要と、N9042BとV3050Aを組み合わせた際の概要

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  • 周波数エクステンダ「V3050A」の活用イメージ

また、新たな2つのLNA(Low Noise Amp)により、ノイズを低減しつつ、歪みとのバランスを柔軟に調整することを可能とした。このため2つともオンにした場合は、低レベルの信号/スプリアスに対して、高いDANL(感度/雑音指数)を実現するという。

さらに、新たなコンセプト商品として、レシーバキャリブレータ「U9361 Rcal」も開発。従来のスペクトラム・アナライザでは、スペクトラム・アナライザ本体と非測定物の間にケーブルやディバイダ、スイッチなどのコンポーネントが入ることでロスが発生してしまうため、マニュアル的にパワー補正を行う必要があった。同製品は、内部に基準信号発生機を搭載することで、そうしたパワーや位相の補正を簡単に行うことを可能としたものだという。

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  • U9361 Rcalの概要と実機画像

このほか、ソフトウェアの拡充も実施。N9042B UXAは従来機種に比べ、新たなx86 CPUを搭載することで動作速度を最大40%向上させたとしている。

なお、参考概算価格はN9042B UXAの50GHz、1GHz帯域幅モデルで約2600万円~、110GHz対応の1GHz帯域幅対応V3050Aセットモデルで約3900万円~、U9361が約200万円~としている。