人工衛星打ち上げサービスなどを提供するベンチャー企業「SpaceBD」は5月10日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める「『きぼう』高品質タンパク質結晶生成実験事業における民間パートナーの選定のための公募型企画提案募集」において民間パートナーとして選定され、JAXAと基本協定書を締結したことを発表した。

JAXAがおこなう、高品質タンパク質結晶化実験は、宇宙空間特有の微小重力環境を活用し、地上実験では得られない高品質なタンパク質の結晶生成を行うもので、高品質な結晶を用いることでタンパク質の立体構造をより詳細に解明することができ、基礎科学の発展のみならず創薬支援を始めとしたさまざまなライフサイエンスの産業応用につながる成果が期待できるという。

  • 国際宇宙ステーション(左)と地球上(右)で生成したヘモグロビンのタンパク質結晶

    国際宇宙ステーション(左)と地球上(右)で生成したヘモグロビンのタンパク質結晶 (C)JAXA

今回の協定締結は、JAXAの国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」利用サービスの民間移管のひとつで、高品質タンパク質結晶化実験の運用準備作業をSpace BDが請け負い、Space BD独自のサービスとして専用のスマートフォンアプリなどの新たなITシステムの導入によって実験システムの利便性向上・効率化を目指すとともに、提供される一部の実験機会を活用した同社サービスを展開することで、国内外の市場開拓を行っていくとするものだ。

同社では協定の締結を受け、すでにJAXA(含む前身のNASDA)と20年以上の提携実績を持ち、独自の新薬開発やタンパク質研究に関わるサポートを展開する丸和栄養食品とのパートナーシップ関係を結び、宇宙実験にとどまらず地上解析等を含むライフサイエンス分野でのR&Dサービスをワンストップで提供する体制を整えたという。

なお、同社はこれまでに、きぼうからの衛星放出事業、およびきぼう船外実験設備利用事業においてもJAXAから民間事業者として選定を受けている。