三菱重工業と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は5月6日、二酸化炭素(CO2)の排出をネット・ゼロにするカーボンニュートラル(脱炭素社会)に貢献するため、CO2を有価物として活用するデジタルプラットフォーム「CO2NNEX」の構築に向けて協力し、クリーンな地球環境の保全に取り組むと発表した。

  • CO<sub>2</sub>NNEXの概念

    CO2NNEXの概念

CO2NNEXは、中立性・公平性を担保して高度なセキュリティーを確保するブロックチェーン、スピーディーな構築や柔軟性を特長とするクラウド、カーボンニュートラルに向けた需給の最適化を行うAIなどを活用したデジタルプラットフォーム。

両社はCO2NNEXにより、サイバー空間上におけるCCUSバリューチェーンの可視化を目指す。CO2の流通全体をつないで可視化するとともに、その証跡を残すことで、投資やコストの観点で検証することも可能だという。

また、販売したいエミッターと購入したい需要家をマッチングさせ、工業や農業、燃料などの新用途に対する供給も実現できることからCO2活用の裾野が広がるということだ。このCO2エコシステムの活性化はカーボンニュートラルを促進することから、いち早くCO2NNEXを導入しCO2流通を整流化することで、地球環境保護を加速することにつながるとしている。

CO2NNEXの構築にあたり、三菱重工は排気ガスからのCO2回収テクノロジーと実績に加え、これまでに培った顧客とのつながりやCCUSバリューチェーンが抱える潜在的課題に対する知見を生かし、CO2排出、回収、圧縮、輸送、貯留、分配、利用などといった流通の要所にCO2の物理量や状態を監視しデータを有効利用するスマートメーターを設置するなどといった、実社会におけるインフラ構築の検証を行う。

日本IBMは安全で透明性、信頼性の高いデータ共有を可能にする「IBM Blockchain Platform」、クラウドと既存システムを連携させて俊敏かつ柔軟なIT環境を構築するハイブリッドクラウド技術、バリューチェーンの可視化、自動化、最適化を可能にするAI技術を活用し、CO2NNEXの構築を検討するほか、さまざまな業界のDXに取り組んできた知見やスキルを持つインダストリー・コンサルタントが参画し、デジタルプラットフォームの企画と検証を行うことを検討するという。

2021年5月からは、デジタルプラットフォームの実証実験に向けたコンセプト実証を行い、具体的に検討を進めていく予定だとしている。