EVとAI自動運転で勝負! 経営再建中の日産が次の一手

工場・人員削減に加えて車種も削減 

「本当に重要なものに投資を集中させ、プレッシャーの中でも判断がぶれないようにする」─。経営再建中の日産自動車社長のイヴァン・エスピノーサ氏はこのように強調する。 

 同社は将来戦略に当たる「長期ビジョン」を発表。収益性の低いクルマを中心に現在56ある車種を45へと2割削減する一方で、主力車に集中投資することで2030年度までに米国、中国、日本の主力市場での販売台数を24年度比25%増の255万台にする。 

 販売不振を受けて世界7工場の閉鎖や従業員2万人の削減を進めている日産。「販売台数を追う拡大路線で肥大化した分、門構えを小さくして得意分野に投資を絞り込んでいく」(幹部)。 

 得意分野の1つが電気自動車(EV)。日産は世界で初めて量産型EVを投入した実績がある。その量産型EV「リーフ」の新型に続き、新たにスポーツ用多目的車(SUV)「ジューク」初のEVも公開。経営統合が破談になったホンダが次世代EVなど3車種の開発・発売を中止したのとは対照的な形となった。 

 もう1つの得意分野が自動運転だ。日産は高速道路などでアクセル・ブレーキ・ステアリングを車が自動制御し、車間距離と車線中央を維持してドライバーを支援する高度運転支援システムの実用化が早かった。この強みを生かしていく考えだ。 

 将来的には全車種の約9割にAIを載せて自動運転を後押しする。既に同社はAIが周囲環境の認知や判断を担う「エンド・ツー・エンド(E2E)」と呼ばれる技術を持つ英スタートアップのウェイブ・テクノロジーズと提携した後、米・配車サービスのウーバーとも提携済みだ。 

 昨今のホルムズ海峡封鎖に伴うガソリン価格の急騰によって、今後、EVへの注目度が高まる可能性もある。それに対してトヨタ自動車は全方位戦略で、あらゆる動力源に投資できるが、体力に限界がある日産には同じ戦略はとれない。 

 経営改革を進めながらの次の一手を打ち出した日産。エスピノーサ氏の経営者としての手腕が問われるのは、これからだ。

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