三菱商事と日本電信電話(NTT)は3月23日、共同出資を行い、デジタルトランスフォーメーション(DX)サービスを提供する新会社「インダストリー・ワン」を2021年度に設立すると発表した。デジタル技術を活用し、食品流通業界における食品ロスや人手不足などの課題解決を目指す。資本金は9億円(三菱商事51%、NTT 49%)で、東京都千代田区に本社オフィスを置く。

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両社はまず食品流通分野における食品卸の在庫最適化ソリューションの開発を進める方針。すでに、小売、卸、メーカーの在庫、受発注、需要予測など、企業内や企業間に散在するデータと、気象予測情報などの外部データをデジタル技術でシームレスかつセキュアに連携させる基盤をNTTデータと共同開発している。

エムシーデジタルと共同開発した独自のAIエンジンを用いた約1万商品を対象とした実証実験では、物流センターの在庫を平均約3割削減し、トレードオフの関係にある欠品率も総じて低下させることに成功したという。2021年度より、三菱食品が運営するローソン向け物流センターを対象に、同ソリューションの提供を目指しており、他企業向けに順次展開する予定だ。

また、三菱商事およびNTTは、新会社のインダストリー・ワンと共に、ブロックチェーンなどの先端技術を活用した企業間のスマートコントラクト(契約の条件確認や履行までを自動的に実行するソリューション)についても、2021年度より実証実験を開始する。在庫最適化ソリューションの提供と併せて、食品流通業界における食品ロスや人手不足などの課題解決を目指す。

さらに、また、三菱商事は、産業におけるDX推進に向け、積極的に外部企業とも連携し、DXに関するサービスを共同で開発・提供していく方針であり、東芝テック、富士通、ラキールと協業を検討することに合意した。各社の専門知見とDXサービスを掛け合わせ、対面する各産業の課題解決や事業構造の変革を支援していくとのことだ。