公園を人間の代わりにロボットが見回って管理を行う。そんな未来が近づいているかもしれない。

NTTコムウェアは3月9日から11日までの3日間、平城宮跡歴史公園(奈良県奈良市)で画像認識AI「Deeptector」と四足歩行ロボットを活用し、公園管理のスマート化を目指す実証実験を行った。

この実証実験は、国土交通省が主催する国営公園を舞台としてAIやIoTなどの新技術を活用し、公園の抱える課題の解決や、公園利用者サービスの創出などによる魅力向上を目指す“パークスマートチャレンジ”の一環として行われた。

実証実験の舞台となった平城宮跡歴史公園は、東京ドーム約26個分(132ha)という広大な敷地を有する。そのため公園の管理・点検の一環である巡回には徒歩だと8時間を要するという課題を抱えていた。

この課題に対し、NTTコムウェアは、四足歩行ロボットによる自動巡回と同社の画像認識AI「Deeptector」を組み合わせることで目視による点検を代替するソリューションを提案、今回の実証実験を実施することとなった。

  • 四足歩行ロボット
  • 四足歩行ロボット
  • 四足歩行ロボットが公園を自律的に巡回し、正面部分に搭載されているカメラで公園の様子を撮影。撮影した画像はクラウドに送られる

ロボットは自律的に見回りを行いながら、正面に搭載されているカメラで周辺の様子を撮影。撮影された画像はクラウドに転送され、画像認識AIが自動的に異常の有無を判定し、クラウド上に構築されている公園の3Dモデル上に異常箇所をマッピングすることで、人間が歩いて見回ることなく、異常を認識することができるソリューションとなっている。

  • 3Dモデル上に異常箇所がマッピングされる様子

    管理者が管理画面にアクセスすると、平城京の3Dモデル上にロボットの走行ルートが水色、異常箇所がピンク色でマッピングされる

AIにはあらかじめ、倒木、落枝の原因となる樹木の損傷画像を学習させており、実証実験では、木につけられたダミーのキノコを、画像認識AIで“異常”として検知できるかの検証が行われた。

なお、今後は、転倒者やゴミなどの画像も学習させ、異常検知の精度を高めていく予定だとしており、公園管理の自動化の実現を推進していく模様。また、異常箇所を発見した際には管理者に通知がいく仕組みを整えるなど、より便利に利用できる枠組み整備を進めていくほか、今回使用した四足歩行ロボットに限らず、さまざまなロボットとの連携も検討を進め、実用化に向けてよりさまざまなサービスの拡充を図っていきたいとしている。

四足歩行ロボットが公園内を見回り、周辺の様子を撮影する様子