スイスの製薬大手ロシュ・ホールディングは、関節リウマチなどに効果が認められている抗炎症薬「アクテムラ(一般名:トシリズマブ)」を用いた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する第III相EMPACTA試験が主要評価項目を達成したことを発表した。

同試験は、米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーの18歳以上の新型コロナ感染患者389名を対象に実施されたもので、主要評価項目は、投与開始から28日目までに死亡または人工呼吸器を必要とした患者の累積割合。副次評価項目には、死亡、人工呼吸器、集中治療室への入室または試験からの脱落(いずれか早い方)までの期間として定義されるclinical failureに至るまでの期間、28日目時点の死亡率、退院または退院待機状態までの期間が含まれている。

試験結果としては、新型コロナ関連肺炎患者において、同薬と標準的な医療措置を受けた患者とプラセボと標準的医療措置を受けた患者と比べると、人工呼吸器の使用または死亡に至る可能性が44%低下したことが示されたという。また、退院または退院待機状態までの期間については、有意差は認めらなかったほか、順序尺度を用いて評価した投与開始28日目までの臨床状態改善に要した期間、ならびに投与開始28日目までの死亡率も統計学的な差は認めらなかったという。

なお同社では、今回の試験結果については、査読付き医学雑誌に提出する予定だとしているほか、今回の試験成績を米国食品医薬品局(FDA)を含む各国の規制当局に提出する予定だとしている。