楽天は11月7日、2019年度第3四半期決算の説明会を開催。ここで、楽天モバイル事業についての見通しが語られた。登壇した三木谷浩史会長兼社長は、説明会の中心に据えられた楽天モバイル事業について、「技術的に本当に動くのか、どのくれらいの優位性があるのか、などがポイントだと思う」とコメントした。

2018年4月に総務省から電波の認可を受け、キャリア化の準備を進めて来た楽天モバイル。しかし、サービス開始予定だった2019年10月1日は、限定5,000名を対象とした試験サービス「無料サポータープログラム」の提供にとどまり、実質的なローンチは見送られた。この原因が「基地局整備の遅れ」であり、総務省からの行政指導も行われている。また、インターネット上では同プログラムに当選した利用者からの「回線につながらない」という声も散見された。

楽天副社長執行役員CAO兼、楽天モバイルCTOのタレック・アミン氏は、決算説明会で、2019年12月末までの楽天モバイル基地局の予定開設状況について「建設は着実に進行している」と説明。「日々60~70の基地局が増えており、2019年の年末までには3,000の基地局から電波が発射される」と、設置の見通しを話した。現在契約が進行中(口頭内諾)の基地局も6,500局あるという。

  • 楽天モバイルの基地局設置予定(楽天モバイルの2019年度第3四半期決算説明会資料より)

これまで、通信サービスの基地局設備には多くの部分で専用ハードウェアが用いられていた。三木谷氏は、汎用サーバー上で動くネットワーク仮想化技術を楽天モバイルに取り入れており、「今まではハードウェア会社に支配されていたが、自分たちで動かせる世界を手に入れた。最も難しいところはクリアして、後は基地局を建てるのみ」と説明会で改めてアピールした。

楽天の2019年1月~9月期連結決算(2019年1月1日~2019年9月30日)は、最終損益が約141億円の赤字となった。同社が出資している米国の配車サービス・Lyft株の市場価値が下落したため、約1,030億円の減損を計上したことが影響した。