NTTドコモは10月29日、2019年度 第2四半期決算を発表しました。新料金プランの導入により、減収減益の決算となっています。登壇した代表取締役社長の吉澤和弘氏は、記者団から寄せられた質問に回答する形で「台風の影響」や「楽天モバイルの動向」、「iモードの終了」などについて説明していきました。

  • NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏

減収減益は想定内?

NTTドコモの2019年度上期決算は、営業収益が2兆3,300億円(前年同期比で595億円減)、営業利益が5,403億円(同703億円減)となりました。営業利益のうち、モバイル通信サービス収入は397億円の減少。吉澤社長は「お客様還元の影響が拡大したことによるものです。新料金プラン『ギガホ』『ギガライト』への移行は順調に進捗しています」と説明し、減収減益はすでに織り込み済みであると強調します。

  • 2019年度上期決算概況

  • 新料金プラン『ギガホ』『ギガライト』の申し込み件数は800万件を突破

一方で、スマートライフ領域の営業収益は325億円増の4,733億円まで拡大しています。なかでも金融・決済サービスの成長が顕著で、その取扱高は2兆3,900億円まで伸び、dカードの契約数は2,039万件に到達。吉澤社長は「今後、スマホ決済を拡大していきます」とコメントしました。下期には、5Gサービスの本格商用化も控えており、ドコモではネットワークの構築など、計画をできるだけ前倒しして展開していくとしています。

  • 2019年度上期決算サマリー

台風の影響は?

決算発表の後に、質疑応答の時間が設けられました。

台風15号、19号が業績におよぼした影響について聞かれると「基地局のダウンがありました。風の影響などで、千葉県内では設置した基地局の半分以上がダウンした。人員を投入して復旧活動を進めました。これについて、大きなコストがかかったということはないのですが、災害救助法の適用により、該当エリアではデータの使用上限を無制限にしました。そこで得られるべき収入がなくなった影響が、少しありました。10月、11月の2か月間で、数十億円規模と見込んでいます」と説明しました。

  • 台風15号および19号における対応

スマホの販売量に影響は?

改正電気通信事業法により、10月1日からスマホの販売方法に新たなルールが課されました。この影響について聞かれると「ドコモでは6月の新料金プラン開始とともに、スマホおかえしプログラム(対象機種を36回の分割払いで購入し、返却した場合に残債の支払いが不要になる)など、いくつかのサービスを先行して導入しました。このため影響は少なかった。ただ量販店では、端末が高くなるのではないか、という見込みから販売量が少し落ちました。ショップでも小さな影響があったと聞いています。現在はいずれも盛り返している状況です」(吉澤社長)。

iモードがついに終了

FOMA(3G)サービス停止の告知にあわせ、iモードは2019年度末に新規受付を終了、2025年度末にサービスを終了することになりました。これについて、吉澤社長は「iモードで展開されたコンテンツ、アプリは、そのままスマートフォンに受け継がれました。当時はモバイルインターネットの走りだった。事業の拡張にものすごく貢献したと考えています。ドコモでは1999年から長い間、サービスを展開してきた。2025年度末にサービスを終了しますが、時代の趨勢というくくりの中で受け止められるのかなと思います」と総括しました。

  • FOMA(3G)サービスが終了へ

楽天モバイルのMVNOは解消すべき

楽天モバイルの「無料サポータープログラム」について、ドコモ社内でも申し込んだ社員がいるのではないか、と聞かれると「私は体験していません。また、使ってみたという社員もフォローしていないので、そのあたりは分かりません。メディアの皆様の反応などを見る限りでは、エリアの構築がまだ充分でないのかな、という印象。本格的につながるようになって、サービスが立ち上がっていくのは、時期としては来年になるのか、そのあたりは分かりませんが、そこからでしょうか」と所感をのべました。

ところでMNOとして大手キャリアの仲間入りを目指している楽天モバイルですが、MVNOの現在はまだドコモやauのネットワークを間借りしている状況。今後、ドコモでは貸し出している回線の返却を求めていくのでしょうか。

それについて、吉澤社長は「(国から)周波数を配分されて、自分たちで事業をやられるということですよね。基本的には、その周波数でお客さんにサービスを提供していくということ。これからもMVNOとしてネットワークを使い続ける、というのはいかがなものかと思っています。ある時期には、MVNOの立場を解消すべき。スタートを実際にしたということですので、今後どのような方向でいくのか、話し合いをしたい。どうあるべきか、私どもも総務省に投げかけていきます。これは楽天だけでなく、KDDIさんもビッグローブさんを完全子会社したけれど、ドコモ回線のMVNOが残っている。ソフトバンクさんもLINEモバイルのドコモ回線のMVNOが残っている状況です」と説明しました。

dカーシェアのトラブルは

今夏、乗用車を個人間でシェアリングできる「dカーシェア」において、利用者が提供した外国車が勝手に売却されるなどのトラブルが発生しました(犯人は逮捕済み)。これについて対応を聞かれると「規約において、ドコモがどこまで補償をするか、明確にしていませんでした。利用登録する段階で、本人の顔写真を登録して免許証と照合するなど、認証の仕方も改善しました」(吉澤社長)。広報部長の小林啓太氏は「システムにかなり手を入れて改善しました。大阪で(同じ容疑者による)トラブルが立て続けに3件起こりましたが、その後は同様のトラブルは発生しておりません」と報告しました。

  • 広報部長の小林啓太氏

iPhone 11がつながりにくい?

ドコモショップにおける手続きの時間短縮について改善を進めているドコモですが、SNSでは「Webで解約の手続きができないのはおかしい」「MVNOではできるのに」との声が上がっていると指摘されると「どこまでWebでできるか、可能性を検討していきます」と吉澤社長。

  • ドコモではWebにおいても、お客さま接点を強化していくと説明しています

またiPhone 11で通信がつながりにくくなることがある、なかでもドコモ版のiPhone 11が顕著というネットの声がある、と指摘されると小林氏は「広報でも、そのネットの情報を確認しましたが、実際のところ、お客様からそういった声はそんなに寄せられてはおりません。ネットのアンケートということで、情報の信憑性についてどうこうは言えませんが。もっとも、少数の声がドコモにも寄せられているのは事実なので、いま調べているところです」と答えるにとどまりました。