ソフトバンクは11月5日に、2020年3月期 第2四半期決算を発表しました。それによれば、全事業で増収を達成したとのこと。決算発表に登壇したソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏は、「個人向けのモバイルも伸びていますが、収益源が多様化し、ヤフー、流通事業、法人事業なども伸びています。安心して成長していける素地ができました」と総括。バランスよく伸長した上期の勢いをそのままに、「下期に向けても新しいことをガンガンやります」(宮内社長)と意気込んでいました。

  • 決算発表会に登壇したソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏

  • 収益の多様化により、ソフトバンクの2019年上期は全事業で増収を達成

「半額サポート+」の名称変更はなぜ? WeWork Japanの状況は? 記者の質問に答える

決算の発表後、宮内社長は記者団からの質問に回答していきました。「スマートフォンの販売ルールが10月1日から変わったことで事業に影響はあったか」と聞かれると「端末の新規販売台数は少し減りました。特に、高価格帯のブランド。キャリアの間では流動性が低下しており、解約数も減少しています。ただ、10月からは消費税が上がりましたし、いろいろな要因があったので、次の決算発表会で総括できると思います」と説明しました。

  • スマホの累計契約数は2,303万契約(前年同期比9%増)でした

また、48回払いの契約をすれば端末の買い替え時に残価が補償される「半額サポート+」の名称を、10月10日に「トクするサポート」に変更した理由については「マスコミ、評論家の皆様から誤解を与えると言われ、名称を変更しました」と述べつつ、サービスの中身については「継続したい。ユーザーからのクレームはほぼ皆無です」と説明します。

次に、NTTドコモ、KDDIでは3Gを停波するタイミングをすでに発表していますが、これについて聞かれると「しかるべきタイミングで発表します。大口の顧客さん、法人さん、また総務省ともお話をしていく必要があるでしょう。まだ、いつと申し上げる段階ではありません」と答えるにとどまりました。

自然災害の対応について聞かれると、(先日の台風被害を受けて復旧対策チームを率いた)ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏は「今後、3キャリアが協力して光ファイバー、災害対応車、資源などを貸し合い、被災者の皆さんの利用キャリアを問わず、電波を使えるようにしていきたい。事業者間で、そうした話し合いをするべき時期です」と説明します。また、「現在は作業員が同じ被災地に集まっていますが、うまく分散できれば復旧までの効率も上がるのでは」と考えを示しました。

  • ソフトバンクの災害対応

  • ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏

さらに、海外で問題になっているWeWorkの社員リストラ問題から、WeWork Japanの状況を聞かれた宮内社長は「国内では240名くらいの少人数で効率よく動いています。リストラより、むしろ増員しなければならない状況。オフィスの稼働率も高く、すぐ埋まっていきます」と説明。今後も、WeWorkの社員とソフトバンクの法人スタッフが一緒になって事業を展開していくと話していました。

  • コミュニティ型ワークスペースWeWorkについて「ネガティブな記事が出ていますが、国内事業は順調です」と宮内社長。全国の6都市23拠点に拡大中とのこと

基地局設置の苦労を知るソフトバンク、楽天モバイルの遅れは「わかっていた」

質疑応答では、記者から「楽天モバイルがまだ料金プランを発表していないことへの影響」についての質問も飛び出しました。

宮内社長は「他社の事業について何かを言う立場にはない」と前置きしつつ、「どんな料金プランを出してくるか分かりませんが、いろんなことを考えておられるでしょう。3,000円で大容量プランを出すという噂も聞きました。ただ我々が言えることは、大容量プランならソフトバンクもやっているということ。ウルトラギガモンスター+は、非常に強い商品に育ってきました。10GB以下のプランであれば、ワイモバイルが順調に成長しています。どんなプランを出してきても、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEモバイルという3つのブランドで戦えるでしょう」と自信を見せます。

10月1日からMNO事業に本格参入すると見られていた楽天モバイルがスモールスタートになったことに対して、どう受け止めているか聞かれると「軽口は叩きにくいのですが、技術者の連中は、みんな6月くらいから(10月に本格スタートできないことは)知っていました」と苦笑い。これに対し、宮川潤一氏が「それ以上は言わないでください」と宮内社長の発言を制止するジェスチャーをすると、記者団を含めて、会場に笑いが起きました。

「ネットワークを仮想化するとのことですが、どうしても最終的には、基地局の建設が絡んできます。まぁ昔ね、僕らもどれだけ苦労してきたか。孫さんも7~8年間ずっと『つながらない、つながらない』と言われ続けてきました。地方でつながらない、銀座のビルの奥でつながらない。そうやって考えると、本当にコストがかかるのは、基地局を建てる土地の交渉やタワーの建設といったところ。さまざまな要素のある大変な事業なんです」と宮内社長。もともとヤフーBBの展開していたADSLの事業で、同じ苦しみを味わっていたこともあり、「利用者の方からは、『ウソばっかり』とお叱りを受け続けていました」と過去の苦労話が止まりません。

「ボーダフォンジャパンを買収したときだって、1万5,000局しかありませんでした。それを23万局まで広げたのです。そう考えると、まぁ他社さんのことは言えませんが、そんなに簡単にできるものではないかなと。……そう、技術者は思っている(笑)。どうしても、基地局はつくらないと。これは楽天さんも、長い年月をかけてがんばらないといけないところではないでしょうか」(宮内社長)