日本マイクロソフトは、2019年10月1日付で代表取締役 社長に、日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員を務めていた吉田仁志(よしだ ひとし)氏が就任したと発表したが、10月2日には、新社長就任の記者会見が開催された。

新社長の発表が10月1日とギリギリになった理由としては、吉田氏が9月30日まで日本ヒューレット・パッカードの現役の社長であったため、発表できなかったとした。

  • 記者会見に臨む前社長の平野氏(左)と新社長の吉田氏(右)

米マイクロソフト アジア プレジデント ラルフ ハウプター氏

米マイクロソフト アジア プレジデント ラルフ ハウプター氏は吉田氏を起用した理由について、「マイクロソフトは33年以上日本でビジネスをしており、(前社長の)平野社長のもとでデジタルトランスフォーメーションに成功し、大きく進捗した。働き方改革やライフサイクルに注力しており、今後も日本において大きなインパクトを与えることができると思っている。平野社長は強いリーダーシップを発揮し、顧客やパートナーとの関係性を築いてきた。吉田氏は日本の市場を深く理解しており、ソフトウェアや業界の知識もあり、これまでリーダーシップを発揮してきた。私は2年前から吉田氏を知っているが、政府機関や民間企業とエンゲージメントを結び、パートナーとの関係を強化し、的確な判断により成功に導いてくれると期待している。(新社長として)内部や外部などいろいろな人を考えたが、外部の市場の経験、顧客やパートナー面での外部経験を持つ吉田さんを選ぶことで補完的な役割を果たし、われわれにインパクト与えてくれると思った」と説明した。

日本マイクロソフト 特別顧問 平野拓也氏

また、日本マイクロソフトの前社長で、現在、特別顧問である平野拓也氏は、「新社長の発表を楽しみにしていた。新社長を選任にするにあたり、イノベーションを通じた日本の社会変革への思いを引き継ぎ、マイクロソフトに対してパッションを持っている人に就いてもらいたいと思っていた。吉田さんはパートナーとして長くお付き合いしてきたが、彼のインターナショナルな部分や日本のビジネスに精通しているというバックグラウンドが重なりこういうことになった。今後も日本社会に貢献し、改革のスピードを吉田さんのスタイルで早めていってもらいたいと思っている」と語った。

日本マイクロソフト 代表取締役 社長 吉田仁志氏

新社長に就任した吉田氏は、「IT業界に長年いるが、われわれの世代の責任として、より良い世の中を次の世代のために準備したいと考えていた。大きな変革を実現できる数少ないグローバル企業であるマイクロソフトに参加できることを非常にうれしく思い、ワクワクしている。平野さんがつくったマイクロソフトには非常に強いマネージメントチームもあり、社員が非常に生き生きしている。今後は、すばらしい社員と顧客や国民のお役に立てる努力をしていきたい」と豊富を語った。

7月から新年度に入る同社は、すでに8月に2020年度の事業戦略を発表しているが、そんな中でどう吉田カラーを出していくのかとの質問に吉田氏は、「戦略に変更はない。カラーというのは、やりながら出てくるものだ。行き着くのは人で、トップはそのための環境を用意する。社員のやる気を上げて、底力を上げていくのがキーになる」と答えたほか、同社が注力するクラウドビジネスについては、「クラウドはマイクロソフトの戦略そのもので、デジタルトランフォーメーションする上では絶好の方法だ。これまで守りのITと攻めのITが言われてきたが、それを逆転する大きな力となり、企業の力を高めることができる。国内でのクラウドのNo.1ベンダーを目指すというのは変わらないが、それを加速させ、成果として収めたい」と語った。

そして、「日本をトップしたいというのが私のこれまでの思いだ。グローバルのマイクロソフトのなかで、日本マイクロソフトを世界一にしたいと思っている」と目標を述べた。