博報堂DYホールディングス、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズの3社は、従業員のヘルスデータを統合活用することで従業員の健康意識向上を目指す「健康経営支援プログラム」開発に向けた社内実証実験を開始する。

3社が新たに行う試みは、9月に行われる定期健康診断を機に、各個人のヘルスデータを対前年度で比較し、その"改善"度合いを数値化し競い合う「健診戦(けんしんせん)」とその後のデータ統合を用いた「健康経営支援プログラム」の開発から成るものだ。

従業員個々人の健康管理を経営的視点で考える「健康経営優良法人認定制度」をはじめ、働き方改革関連法の4月の施行と官民一体の健康への取り組みがスタートしている。しかし、健康診断結果などのデータ活用は個人情報保護法などでも規定される"要配慮個人情報"に該当し、プライバシーやコンプライアンスの観点から企業内外でのデータ活用が進んでいないのが現状だという。

同意や範囲など大きなデータとして取り扱う難しさが推察できるが、博報堂DYホールディングスのデータ・エクスチェンジ・プラットフォーム設立準備室(DEX)は7月に個人情報を直接取り扱うことなく推定値でユーザーの特徴を付与する新技術「モデル転移型データフュージョン」を開発(ニュースリリース)しており、今回の実証実験のデータ処理を行うことも発表している。

10月から予定されているフェーズ2では、希望者に配布したスマートウォッチから同意が得られたヘルスデータ(活動量データ、健康診断データ、勤務時間データなど)を統合。配布しなかった社員からは、活動量データを除くヘルスデータをプライバシーが保護されるレベルで非個人情報・統計情報に加工し統合する。

これら統合データからは、個人情報とは切り離された具体的なデータ分析ができるようになる。同社では、"週3回以上1万歩以上歩いた"、"毎日3食食べた"など普段の生活行動、社内健康セミナーやイベントなどへの参加状況と健康診断結果改善度との統合評価が可能になることを例示している。社内施策の費用対効果や健康状態に応じたアドバイスなど、より具体的なデータ分析に基づいた健康支援が行える。

3社は、実証実験にて得られたノウハウをベースに、「健康経営支援プログラム」の開発を進め、さまざまな企業に提供できることを目指すとしている。