ルネサス エレクトロニクスは6月25日、同日開催された取締役会において、同社代表取締役社長兼CEOの呉文精氏が6月30日付けで退任し、後任として7月1日付けで取締役執行役員常務兼CFOの柴田英利氏を昇格させる人事を決定したと発表した。

  • 呉文精

    6月30日付けで退任が決まったルネサス社長兼CEOの呉文精氏 (3月29日の同氏出席の記者会見にて編集部撮影)

同社が取締役会の任意の諮問機関として設置している指名委員会が、足元の業績悪化および2016年度に設定した中期的な目標とする財務指標との乖離が大きくなっていることを問題視し、呉氏に対し業績回復および成長軌道への復帰を実現させうるだけのトップとしての資質が備わっているのかについての評価を実施。その結果、呉氏には、今後の経営トップとして指名委員会の期待を満たせないと判断が下され、社長兼CEOの交代を推奨する旨の答申が出されたことを受け、呉氏が辞任の申し出を取締役会に提出、取締役会がこれを受理したことから今回の決定に至ったという。

なお、指名委員会は、柴田氏を次期社長兼CEOの候補者として選定した理由として、「リーダーとして構造改革などを行ったこれまでの経験から反省や学びを活かして、現在の業績不振および株価低迷から脱却するために、有効な対策を迅速に講じることが期待できる。変化の速い半導体業界において、今後の当社の再建および更なる成長を考えたとき、柴田が次期社長兼CEOの候補者として適任であると判断するに至った」と説明しており、柴田氏もこれを受ける形で「従業員とともに、ルネサスが業界をリードするソリューションをお客様に継続的に提供し、IDT統合プロセスに向けたポジティブな流れを維持し、成長路線に回帰するよう尽力します」とコメントしている。