Microsoftは5月6日(米国時間)、「Introducing Windows Terminal|Windows Command Line Tools For Developers」において、新たなターミナルアプリケーション「Windows Terminal」を発表した。2019年夏にプレビュー版、2019年冬に最初のメジャーリリースバージョンとなる1.0の公開を目指すとしている。
「Windows Terminal」はMicrosoft Store経由で提供される見通し。ソースコードはすでにGitHubでMITライセンスの下でオープンソース・ソフトウェア(OSS)として提供されている。
今回の発表は特に2つの点が注目される。1つは既存のWindows Consoleを改善するアプローチではなく、別のアプリケーションとして「Windows Terminal」を開発するに至ったこと。もう1つは「Windows Terminal」のみならず、既存のコンソールまでMITライセンスの下でOSSとして公開したことである。
MicrosoftはWSL(Windows Subsystem for Linux)の導入などに合わせ、Windows Consoleの機能強化に取り組んできた。既存のWindows ConsoleはLinuxのターミナル(コンソール)として利用するには機能が不足しているうえ、モダンなターミナルアプリケーションが備えている多くの機能が欠落している。
こうした問題に対処するために既存のWindows Consoleの改良が続けられてきたわけだが、互換性を維持したままLinuxターミナルの要望に応えることが難しいことは、これまでMicrosoftの技術者が発表してきた数々のブログがその内容を伝えている。
Microsoftはこうした状況を受け、モダンなターミナルアプリケーションを実現するにはWindows Consoleを拡張するのではなく、別のアプリケーションとして開発するほうがベターと判断し、「Windows Terminal」という別アプリケーションの開発に舵を切ったと見られる。
また、Windows Terminalの公開に合わせ、既存のWindows Consoleの中核部分のソースコードがMITライセンスの下でOSSとして公開された。これについて、MicrosoftはOSSとして公開することで、OSSのエコシステムを活用してコミュニティからの改善などを期待すると説明している。
既存のWindows ConsoleまでOSS化した背景には、macOSにもLinuxにもさまざまなターミナルアプリケーションが存在しており、その多くがすでにOSSとして提供されていることなどが背景にあると見られる。こうした現状において、新たにリリースするターミナルアプリケーションをバイナリのみで提供することに利点がないと判断したと見られる。
MicrosoftはWSLの次のバージョンとなるWSL 2を発表するなど、ターミナル/コンソールを利用する機能の強化に取り組んでいる。「Windows Terminal」は既存のターミナルアプリケーションと比べるとまだ初期の段階と言えるが、それなりに利用できるターミナルアプリケーションがMicrosoftから提供されたことは注目に値する。
こうした取り組みは、Microsoftがターミナル/コンソールの強化に取り組む意志があることを示しており、今後もこうしたUIを利用するソフトウェアの提供が続くことを示唆している。