NECは11月27日、紙面の文字情報を読み取るOCR(Optical Character Reader)にAIを活用した「NEC AI-OCRサービス」を2019年3月から提供開始すると発表した。

現在、働き方改革の流れを受けRPA(Robotic Process Automation)が普及し始めており、主にバックオフィスなどで扱われるさまざまな種類の帳票上の文字情報を電子化したいというニーズが高まっているが、従来型のOCRでは新規の帳票を読み取る場合や読み取る帳票の種類を変更する場合、事前に読み取り設定を都度作成・変更する必要があり、扱う帳票の種類が多い場合は発生する作業負荷が課題になっていたという。

新サービスは、同社独自の「インタラクティブ学習方式」(入力作業者が文字情報を入力する都度AI学習プロセスが働き、学習結果を即時帳票読み込みに利用できる方式)により、入力された文字の位置と項目をAI(機械学習)がリアルタイムに自動学習・認識するため、事前の帳票書式の定義が不要となり、文字の入力を行っていくだけで同一帳票の自動読み取りが可能となり、取引先などで発行された様々な種類の帳票もそのまま読み取ることができるという。

個々の端末で学習した帳票書式データは、システム全体で共有できるため、複数の作業者による効率的な入力作業が可能となるほか、個々の入力作業で学習結果を向上させていくことで、入力作業を継続的に効率化を図ることを可能とし、伝票処理業務の効果検証を行った際は人がすべてデータ入力した場合と比べ、帳票入力作業時間を75%効率化したという。

  • AIを活用したOCRサービスによる業務改善イメージ

    AIを活用したOCRサービスによる業務改善イメージ

さらに、新サービスとRPAを組み合わせて利用することで、納品処理や請求書処理など従来効率化が難しく、手作業で行っていた、あらかじめ定義できない複数の帳票書式を取り扱う業務においても効率化を進めることが可能。同社のRPAソリューション「NEC Software Robot Solution」と連携することで、例えば複数書式を取り扱う納品業務では読み取った納品書データを発注システムのデータと突合し、納品処理業務を自動化できるとしている。

なお、新サービスの正式な提供開始に先立ち、一定期間利用可能な試験環境を12月下旬から提供を予定し、インストールされた貸出用パソコンを最大1カ月間利用してもらい、自部門での導入を事前に検証することが可能だという。参考価格(読取項目数20項目の帳票を年間24万枚処理した場合、ハードウェア、導入支援費用は含まれない)は年間480万円。