コーネル大学の研究チームは、超急速充電が可能な新構造の二次電池を提唱している。ブロック共重合体の自己組織化現象を利用して電極構造をナノスケールまで微細化するというものであり、実現すればほぼ一瞬で充電が完了するという。研究論文は、英国王立化学会発行「Energy and Environmental Science」に掲載された

  • 超急速充電が可能な新構造の二次電池

    超急速充電が可能な新構造の二次電池。マイナス記号の付いた灰色の部分が負極、緑色がセパレータ、プラス記号の青色部分が正極を表す。それぞれの部分のサイズは20nm程度とする (出所:コーネル大学)

通常の二次電池は、正極と負極をセパレータが隔てる構造になっており、両極間でのイオンの移動を利用して充放電を行う。一方、今回提唱されている新構造の二次電池では、こうした電池の構成要素を結合して三次元らせん構造を自己組織化的に形成する。

電池の構成要素にはナノスケールの微細な孔がたくさん開いており、この孔をエネルギーの貯蔵・供給に用いる。

正極・負極・セパレータを三次元構造化することで、電池内のデッドボリュームに起因する損失をなくすことができる。さらに、この構造をナノスケールまで微細化することで、エネルギー密度を桁違いに高めることができると考えられる。これによって既存の二次電池を比べて、充電時間を大幅に短縮できるとする。

今回の研究では自己組織化させたろ過膜を使って実験を行っており、同じ原理をエネルギー貯蔵用の炭素材料に適用できるかどうかについて検討している。

電池材料の場合には、まず負極材料である炭素薄膜のらせん構造をブロック共重合体の自己組織化現象を利用して形成する。この負極膜には40nm幅のオーダーに数千個の周期的な微細孔が開いている。

この孔に10nm厚のセパレータ材料をコーティングする。セパレータは電気的には絶縁性だがイオン伝導性をもつ。コーティングには電解重合プロセスを用いることで、短絡の原因となるピンホールがセパレータ上にできないようにする。

次に、この構造に正極材料を付加する。今回の研究では正極材料には硫黄が想定され、その量は構造中の孔をふさがない程度とする。硫黄は電子を受け取る能力をもつが導電性はもたないため、最終的に導電性ポリマーであるPEDOTを埋める。

これが新構造の電池のコンセプトであるが、問題がまったくないわけではない。たとえば正極材料の硫黄は充放電中に体積の膨張収縮を起こすが、集電体のPEDOTはこのような体積変化を起こさない。充放電の繰り返しによってPEDOTはだんだん劣化していくと考えられる。

研究チームは現在も技術の完成をめざして研究を続けているが、概念実証研究に関しては特許権保護の申請済みであるとしている。