米オラクルは、カリフォルニア州レッドウッドシティの本社において「Oracle Global Media Day」を開催。この中で、Oracle NetSuite開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのEvan Goldberg氏は、オラクルによるNetSuiteの買収以降の進化や今後の製品戦略などについて説明した。

NetSuiteは、1998年に設立。ERP、財務会計、CRM、eコマースを統合したクラウドベースのビジネスアプリケーションを開発、販売している。CEOのZach Nelson氏や、開発を統括するGoldberg氏などの創業メンバーは、いずれもオラクルの出身であり、NetSuiteの設立時から、オラクルの会長兼CTOであるラリー・エリソン氏が出資している。

オラクル買収による変化

Evan Goldberg氏は「オラクルによる買収以降、グローバルへの展開を強化するなど、ビジネスを加速させることができた。今後は、アナリティクスの機能やUIなどもゼロから見直することになるだろう」と発言。

  • Oracle NetSuite 開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのEvan Goldberg氏

同席したOracle NetSuite ネットスイートストラテジー&マーケティング担当シニアバイスプレジデントのJason Maynard氏は、「2018年10月に開催予定のOracle Open Worldで、新たなNetSuiteを発表できる」などとした。

2016年11月に、オラクルが93億ドルで買収した際にも、「オラクルは、従兄弟のような存在だった」(Oracle NetSuite 開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのEvan Goldberg氏)と表現。

「似た雰囲気を持った会社であり、ラリー(エリソン氏)はもとより、サフラ(サフラ・キャッツCEO)、マーク(マーク・ハードCEO)も、すぐに我々の会社のことを理解してくれた」とする。

Goldbergエグゼクティブバイスプレジデントは、「NetSuiteは、中小企業やスタートアップ企業など、ITリソースを持っていない企業を対象にビジネスを開始しており、インテュイットのQuickbooksでは不十分であると感じる企業が対象となっていた。また、オラクルのERPが対象とした大手企業も、NetSuiteの対象ではなかった」と、オラクル製品との補完関係を強調。「オラクル傘下に入った後も、組織はほとんど変わらず、そのままの体制を維持している」と独立性を維持していることにも触れた。

だが、その一方で変化したことについて触れ、「大きく変わったのは、企業規模などの ターゲットを得意分野に絞り込んだビジネスができ、それが強みになっていること、同時に、国内だけでなく、海外でのビジネスを拡張できるようになったこと、開発、マーケティングの陣容を強化できるようになったことである。これまで以上に、活発なビジネスができるようになった」とする。

オラクルがすでに展開している海外市場に、積極的に展開できるようになり、英語圏(米国、カナダ、英国、オーストラリアなど)を中心にしていたビジネスを、中国やインド、ブラジル向けにもローカライズを開始し、新たに展開できるようになったとした。また、フランスやドイツをはじめとする中欧での展開も今後強化する姿勢をみせた。

「海外向けのローカライズを行うためのリソースが拡張されたり、オラクルが持つ海外のデータセンターを活用するといったこともできる。1社ではできなかったこと、時間がかかっていたようなことが解決でき、ビジネスが急速に広がっている」とする。

中国では急速にビジネスが拡大しているほか、インドでもトップ5に入ることができると予測。これらの市場では、オンプレミスからクラウドへの移行が進展するのに伴って、事業を拡大しているという。

なお、日本では、2006年に日本法人を設立しているが、今回の説明では日本における展 開については言及しなかった。

また、「アパレル、小売、ヘルスケア、金融・保険、飲料など、業種ごとに持つ課題を解決するために、独自のアプローチとして、Suite Successがある。導入企業が、その業界で抱える課題にフォーカスするために、専門家を用意して、ベストプラクティスをパッケージ化して提供できるバーチカルソリューションが大きな特徴だ」などとし、「ここでは機械学習を活用したアナリティクスを提供したり、現場でのフォーム入力を自動記入により簡素化したりといったことも支援できるようになった。これらのインテリジェントアシスタンスの機能もNetSuiteのなかに入れることができた。さらに、コンシューマアプリのように簡単な操作環境を実現しているのもNetSuiteの特徴であり、これも維持できている」と述べた。