損害保険ジャパン日本興亜(損保ジャパン日本興亜)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は3月19日、NTTグループのAI技術「corevo(コレボ)」を活用し、将来の音声自動通話対応を見据えた共同実験を開始すると発表した。

損保ジャパン日本興亜では、2016年2月1日から一部のコールセンターにおいて、利用者とコールセンターアドバイザーとの通話内容をAIによる音声認識技術でテキスト化し、アドバイザーが使用するパソコン上にリアルタイムで最適な回答候補を表示する「アドバイザー自動知識支援システム」を導入している。

現在は複数の発言のうちどの発言に関連したQ&Aを表示するかについて、アドバイザーが自分で選択する必要があるが、今回開始する実証実験では、アドバイザーが選択しなくとも、会話の中でどの発言が重要なポイント(利用者の用件)であるかをAIが自動で把握し、その用件に関わる回答候補をアドバイザーに表示。回答の正確さや迅速さの向上効果を検証する。また、重要なポイントが自動表示されることにより応対履歴の入力作業が効率化されるため、その効果についても検証する予定だ。

さらに、文書の構造(表も含む)をAIが自動的に認識する技術を用い、パンフレットや契約のしおりなどの既存文書をAIが“読む”ことで、そこに書かれている内容を新たな知識として獲得し、回答文を自動作成する内容についても検証する。これにより、従来は事前に用意されたデータから回答を探していたが、Q&Aにない質問に対応することも可能になるという。

  • 共同実験のイメージ

    共同実験のイメージ

両社は今後、簡単な問い合わせはAIが行い、それ以外の対応はアドバイザーが行う「ヒト」と「機械」が融合したコールセンターを目指すとしている。

  • 両社が目指すコールセンター像

    両社が目指すコールセンター像