セコムのグループ企業でコールセンター・バックオフィスの構築・運営を行うTMJと北海道大学 調和系工学研究室が新たなAI活用で人材不足解消への貢献を目指すことを28日、発表した。
都内の昼時のコンビエンスストアや夕方以降の飲食店をのぞくと、休む暇もなく列をなすお客に、汗を流しながら延々と対応する店員の姿が見られる。一定時間連続で、動き続けなければその列を解消できない大変な業務だ。
サービス業や外食産業などにおける労働集約型の仕事では、個々のスタッフのスケジュールにあわせて働く曜日や時間を決めていくシフト制で対応するケースがある。しかし、管理者は突発的な欠員に対しての対応に苦慮する状況になる。セコムグループのTMJと北海道大学の調和系工学研究室は共同でこのシフト調整を自動化するアルゴリズムの開発を進めており、その成果の一端を発表。2018年度中の実用化を目指す。
アルゴリズムでは、"突発的な欠員に対し何人に声をかけるのか?""どのタイミングで声をかけるのか?"などこれまで担当者の経験と勘に依存していた工程を、学習したAIとチャットシステムの連携で最適化させる。LINEを用いたリスト対象人数100人の場合の効果シミュレーションではコンタクト数75人(電話では50人)、応諾数9.1人(電話では7.5人)、応諾工数10.3分(電話では42.3分)とシフト調整に効果が見える。
開発を行う調和系工学研究室 川村 秀憲教授は、シフト調整にかかる管理者のノウハウや暗黙知をデータ化し、機械学習させることによって調整にかかる時間を削減していることを述べており、管理者のみならずオペレータが働きやすい/休みやすい環境実現のために人工知能の技術を活用していくとしている。TMJ 北海道事業本部 採用・稼働管理センター 吉岡 千賀子氏も同様に多様化に合わせた対応を図ることで従業員満足度向上に繋がることを述べている。