三井住友海上火災保険は12月19日、AI(人工知能)技術を利用した顧客や代理店などの問い合わせ対応をサポートするシステムを構築し、稼働したと発表した。新システムには、IBMの「IBM Watson Explorer」とAIテクノロジーである「Similarity Search(類似文書検索エンジン)」を採用している。

  • AI利用による問い合わせ対応のイメージ

    AI利用による問い合わせ対応のイメージ

同システムはAI技術の導入により、問い合わせ対応に要する時間の短縮と回答内容の均質化を図り、従来以上に迅速かつ高品質な顧客対応を実現するという。

同社社員やコールセンターのオペレーターなどが同社の顧客や代理店からの問い合わせ内容をPCで文章入力して検索すると、質問内容を分析・解釈し、あらかじめ機械学習した1万件を超えるマニュアルなどの情報から、迅速かつ的確に回答候補を一覧にして表示する。また、質問と回答を繰り返すことで、機械学習により回答精度が向上するとしている。

さらに、コールセンターでは音声認識技術を導入し、顧客とオペレーターがやり取りする音声から自動的に回答候補を抽出。対象種目は、自動車保険・火災保険・傷害保険・新種保険などとなり、利用対象者は全国の社員・コールセンターのオペレーター、一部代理店。なお、10月23日から同社の一部代理店も、顧客からの問い合わせに同システムを利用している。

同社は2014年度からAI技術を利用し、コールセンターへの顧客からの多様な問い合わせ内容を分析し、公式サイトに表示するFAQなどの情報を拡充することで、タイムリーかつ的確な情報を提供してきた。

今回、顧客や代理店、社員からの問い合わせ対応のさらなる高度化を図るべく、新たなシステムを構築することで、問い合わせ対応に要する時間の短縮に加え、回答内容の均質化を図るという。また今後、社員・代理店の業務効率化やさらなる生産性向上にもつなげていく方針だ。