米VMwareの年次テクニカルカンファレンス「VMworld 2017」が8月27日、ネバダ州ラスベガスのMANDALAY BAYホテルで開幕した(8月31日まで開催)。

VMworldは今年で14回目を迎える。世界各国から約2万3000人のパートナー/顧客が参加。日本からも約300人が参加したとのことだ

今年で14周年を迎える同カンファレンスのテーマは「I AM」。「I AM」のあとには、イノベーター、パイオニア、既成概念を打ち破る者……など、さまざまな言葉が続く。「VMwareの顧客ひとりひとりがデジタルビジネスの未来を共有し、世の中を変えていく。われわれはそのための力となる」との思いが込められているという。世界各国から約2万3000人のパートナー/顧客が参加し、スポンサー数も200を超えた。会期中は、500を超えるセッションやハンズオンラボが予定されている。

8月28日の基調講演には、米VMwareでCEOを務めるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏が登壇。2016年10月に発表された「VMware Cloud on AWS」の提供開始を明らかにするとともに、クラウド環境が稼働するアプリケーションの稼働を監視/保護するセキュリティサービス「VMware App Defense」を発表。顧客が望むマルチクラウド環境構築に、あらゆる側面から支援していく姿勢を鮮明にした。

米VMwareでCEOを務めるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏

満を持して登場した「VMware Cloud on AWS」

冒頭、Gelsinger氏は、これまでのエンタープライズITの進展が「集中から分散へ振り子のように変わっている」ことを指摘。「過去においては、メインフレームからクライアントサーバ・システムへとトレンドが変化した。そして現在は、クラウドからIoT(Internet of Things)へと移行しつつある。そのような状況においては、VMwareのビジョンである『One Device、Any Application、Any Cloud』を実現すべく、(ユーザーのいちばん近いところにある)アプリケーションにフォーカスする必要がある」と語った。

エンタープライズITの進展のトレンド。「集中から分散へ、振り子のように変わっている」とGelsinger氏は指摘した

Any Cloudを具現化したのが、「VMware Cloud on AWS」の提供開始である。「VMware Cloud on AWS」は2016年10月に、米AWSとの戦略的提携が発表された際に紹介されたものだ。約1年間の準備期間を経ての正式リリースとなった。

「VMware Cloud on AWS」はAWSが提供するクラウド上で、「vSphere(仮想化プラットフォーム」や「VMware Virtual SAN(仮想ストレージ)」、「VMware NSX(仮想ネットワーク)」といったVMware製品をオンデマンドで利用できるサービスである。プライベートクラウドの構築・実行と運用管理を簡素化する統合プラットフォームの「VMware Cloud Foundation」を活用し、AWSインフラのベアメタル上で稼働する。VMwareユーザーは、オンプレミスと同じ運用をAWS上で実現できるのが最大の特徴だ。

基調講演にはスペシャルゲストとしてAWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジェシー)氏も登場。今回のサービス提供開始について、「ユーザーはシステムの大幅な変更や、アプリケーションの書き換えが必要ない。オンプレとパプリックを意識することなくシームレスに運用管理できる」と、その優位性を強調した。

「VMware Cloud on AWS」の提供開始に関する発表ではAWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジェシー)氏(右)も登壇した

VMware Cloud on AWSは最小要件が4サーバ(物理ホスト)で、各サーバは2CPU/36コア、72ハイパースレッド、RAMが512GBとなっている。利用価格は、1時間当たり8.3681ドル(サーバ単位)(関連リンク )。なお、「VMware Cloud on AWS」の提供/販売/サポートはVMwareが担当する。最初はAWSの米国西部リージョンからサービスをスタートし、米国東部リージョン、欧州、アジアと続く予定。2018年末までには、すべてのAWSリージョンでサービスを開始する予定だという。

「VMware Cloud on AWS」に関する料金表は同社サイトで確認できる