ヴイエムウェアは6月27日、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の最新の取り組みに関する記者説明会を開催した。初めに、米国VMware ストレージ&アベイラビリティ担当 上級副社長 兼 ゼネラル マネージャのヤンビン・リー氏が、グローバルのストレージ/HCI事業について説明した

ミッションクリティカル用途がメインの「vSAN」

米国VMware ストレージ&アベイラビリティ担当 上級副社長 兼 ゼネラル マネージャ ヤンビン・リー氏

同社は最新のデータセンターのビジョンとして、「Software-Defined Data Center(SDDC)」を定義している。SDDCはソフトウェアベースのアプローチの下、コンピューティング、ストレージ、ネットワークの仮想化、クラウド管理が統合されている。

リー氏は、SDDCの特徴として、「パブリッククラウドに拡張可能である点」「従来がアプリケーションとクラウドネイティブアプリケーションに対応している点」「運用管理を自動化できる点」などを挙げた。

SDDCは、サーバ仮想化ソフト「vSphere」、クラウド管理プラットフォーム「VMware vRealize Suite」に加えて、ストレージ仮想化製品「VMware vSAN」が用いられている。同社は、「VMware vSAN」をHCIソリューション向けソフトウェアと位置付けている。

「Software-Defined Data Center(SDDC)」の概要

リー氏は「vSANを導入している顧客の数は昨年11月の時点で、5500社だったが、現在は8000社に到達している。また、HCIはディザスタリカバリ、仮想デスクトップ、リモートオフィスのインフラの利用に適していると言われているが、vSANの顧客調査では、64%がビジネスクリティカルなアプリケーションの用途として導入していることがわかっている」と、vSANのHCI市場におけるポジションを強調した。

同社は今年4月に、「vSAN」の最新版「6.6」を発表している。リー氏は同製品の特徴として、保存データを暗号化するHCIネイティブの機能、ローカルサイトの保護機能を備えたストレッチ・クラスタの強化を挙げた。

HCI拡販に向けて、販売と保守サポート体制を強化

ヴイエムウェア ソリューションビジネス本部 本部長 小林泰子氏

国内のHCI事業への取り組みについては、ヴイエムウェア ソリューションビジネス本部 本部長の小林泰子氏が説明を行った。

小林氏は同社のHCIの特徴として、「vSphereに最適化されたストレージ仮想化機能であるvSANをカーネルに標準で組み込んでいる点」「内蔵ディスクを共有データストアとして提供する点」「仮想マシンごとに要件に応じたポリシーを定義することで最適なストレージサービスを提供する点」「ストレージに関する作業を自動化できる点」を挙げた。

「他社のHCIは仮想マシンでストレージの機能を提供しているので、オーバーヘッドが生じる。これに対し、われわれはvSANが標準で組み込まれているので、パフォーマンスも高く、vCenterで一元管理が可能」と、小林氏は他社のHCIに対するアドバンテージをアピールした。

ヴイエムウェアが提供するHCIの特徴

続いて、同社が提供可能なHCIの形態が4つ紹介された。同社はパートナーを通じて、HCI向けソフトウェアであるvSANを「VMware HCI」として提供している。

1つ目の提供形態は、サーバメーカーがvSANを組み込んだアプライアンスとして提供するものだ。この製品としては、Dell EMCの「VxRAIL」、富士通の「PRIMEFLEX HS」がある。

2つ目の提供形態は、同社が認定したハードウェア「vSAN Ready Node」にvSANを組み込んで独自パッケージとして提供するものだ。

3つ目の提供形態は、顧客の要件に応じて、「vSAN Ready Node」にvSANを組み込んで提供するものだ。

4つ目の提供形態は、「vSAN Ready Node」、vSAN、NSX、SDDC Managaerから構成される「VMware Cloud Foundation」となる。

「VMware HCI」の提供形態

また小林氏は、日本においてHCIの拡販に向けて、「外資サーバに加え、国内サーバメーカーとの協業強化」「パートナー各社との協業により、国内顧客の多様なニーズへの対応」「クラウドサービスプロバイダーへの展開」に取り組むと説明した。

パートナーとの協業の例としては、大塚商会の「HCIスターターキット」、日立システムズの「ハイパーコンバージド・ソリューション」が紹介された。

クラウドサービスプロバイダーに関しては、vCANパートナー15社がvSANの導入を開始しているそうだ。

同社は社内でもHCIの販売と保守のサポート体制を強化している。今年4月より、vSAN/HCIの製品担当部隊に加え、パートナー担当部隊にvSAN/HCIの専任エンジニア・チームを発足した。また、7月1日より、保守サポートを要員を大幅に拡充し、vSAN専任チームを発足するという。