インターンシップと聞いて、どのようなイメージをお持ちだろうか? 通常の意味でいえば、いわゆる学生向けの「就業体験」になるわけだが、最近は単に就業体験にとどまらない、新たに定義された「インターンシップ」が増えてきているようだ。

今回ご紹介する、アフィリエイト(成果報酬型広告)を中心にインターネットを通じた広告の配信ならびにコンサルティングサービスを提供している「バリューコマース」は、インターンシップの受け入れを「社会貢献のため」と定義している。本年度に行われた同社のインターンシップを体験した学生のほぼ全員が、2週間の期間を、「とても短く感じた」と非常に高く評価したそう。いったいどのような思いを持ってインターンシップを行っているのか、バリューコマースの担当者にお話を伺った。

バリューコマース株式会社
経営戦略部門人事・総務部人事チーム
小林祐貴子氏

バリューコマース株式会社
経営戦略部門人事・総務部人事チーム
酒井俊作氏

ユニークでありつつ理にかなったプログラムを提案

インターンシップのカリキュラムといえば、実際のビジネス現場の手伝いをしながら実体験から学ぶという方式を思い浮かべる。しかし、バリューコマースではちょっとユニークな視点からプログラムを組んでいるという。

「今年で3回目となりますが、1回目には海外出張を入れたり、2回目は役員に同行して経営の本質を学生たちに学んでもらったりしました」と語る人事チームの酒井俊作氏(以下、酒井氏)。そもそも同社ではインターンシップの受け入れを、新卒の囲い込みではなく社会貢献を目的に行っているのだという。「今年に関してはがらりと変えて、学生がやりたいことはなんだろう、という原点に立ち返って実行プランを練りました」と酒井氏。

その実行プランを練るところで、中心となったのが同人事チームの小林祐貴子氏(以下、小林氏)だ。小林氏は入社1年目、いわゆる新卒で入社して間もないうちに、この一大プロジェクトの中心に据えられたのだ。

「学生が社会や会社というものを、リアルに体験できる機会ってなかなかありませんので、自分が会社に入ったときにどうなっていくんだろう、というイメージが得られる時間を過ごせるのが一番だろう、という話になりました」と語る小林氏。就活を経験した記憶も新しい彼女こそ、その発想を形にしやすい。そんな狙いもあったのだろう。

インターンシップの期間は2週間で、セミナーを中心にプログラムが組まれることになった。「講師は職位に関係なく、弊社の各業務で中核的ポジションにいる社員にお願いすることにしました」と酒井氏。講師というと、職位の高い人間が行うことが多いが、バリューコマースでは、ビジネス現場の最前線に立つ社員こそ講師に最適だと判断したのだ。なるべく実際の現場の声を、学生たちに伝えようとする意図がはっきりと受け取れる。

講師を頼まれた社員は忙しい業務の合間を縫って準備をすることになるが、「皆さん、楽しそうでした」と小林氏。前向きな雰囲気だったという。ちなみに、バリューコマースはインターンシップを受け入れる際に、通常業務に支障をきたさないことを前提としている。その前提条件とうまくバランスを取りながらプログラムを組んでいった。

インターンシップを受け入れる社内の雰囲気

「ある講師はプレゼンテーションの見せ方や、企画書の作り方について、それこそ仕事をしたことがない学生に対するお土産のようなつもりで、ノウハウを教えてくれていました」と酒井氏。プログラムで講師を担当した社員は30名、企業全体の20%近くの社員がインターンシップに関わったことになる。

「今回のインターンシップに関しては、担当の営業が付きっきりになるカリキュラムは作りませんでした。弊社はネット広告を手掛けていますので、クライアントのお客様の業種も多岐に渡ります。実際にその現場で知識を得たさまざまな社員と交流してもらうことで、仕事の幅広さを体験してもらえたと思います。また、講師を担当した社員も、学生の考え方や、ネット広告に対する見方がわかったという意見も多かったので、意義のある時間を過ごせたと思っています」と小林氏は語る。

バリューコマース自体、若い社員が多く、社員に平等にチャンスを与える社風が強いのだという。社員の定着率も高く、女性の登用が多いこともあって、社内の雰囲気の良さは学生たちにも伝わっただろう。「おそらくみんなこの会社が好きなんでしょうね」と酒井氏は笑顔で話してくれた。

バリューコマース社内の様子