意欲あふれる学生たちが刺激に

「毎日何かしらのトピックスを発表する場を設けていました。小林がそういうプログラムを作ってくれていたので、学生たちの取り組む姿勢もまじめでした」と酒井氏。毎日何かしらのゴールがあるということは、学生たちにほど良い緊張感を維持させるのに最適だ。

ユニークなものとしては、学生がバリューコマースのキャッチコピーを作るというプログラムもあったのだという。学生にとっては短期間で会社のイメージを創り上げて、コピーワークをする必要があるが、「その点、今回の学生さんたちには日報という形で毎日感想を聞いていたんですけど、何が良かった、何を学べたなど具体的な話しを聞くことができていました。みなさんまじめだったので、一日一日インターンシップに取り組みながら、弊社の業務を見つめていたようです」と小林氏。そのとき出されたキャッチコピーは、ほかの案と共に現在社内稟議中だという。「採用の可能性もありますよ」と酒井氏は笑みをこぼす。

インターンシップの総まとめとして最後に用意されていたプログラムは、2週間の期間を体験したうえで、学生たちが新規ビジネスを提案するというものだった。「社長、副社長、執行役員、経営トップ陣が勢ぞろいしている前での発表です」。発表の場のセッティングはもちろん、プレゼンの司会も学生たちが務めたのだという。

「大勢の社員がインターンシップに関わったので、みんなどんな発表をするのだろうと興味津々で、会場は満席でしたね」。結果的に人事部が作ったインターンシップのプログラムではあったが、最後にはその枠を超えて全社的なプログラムにまで成長した様子がうかがえる。いずれにせよ、学生たちが社会人になったとしても、新人のうちにはなかなか訪れないかもしれない、貴重な体験だったことは間違いないだろう。

インターンシップを通じて学生も企業も成長

インターンシップを通じて触れあうなかで、学生たちが年々PCやインターネットのことについて詳しくなっている状況を感じたという酒井氏。「今の学生だとここは教えなくても理解している、というラインがわかっただけでも収穫です。就活に対する心構えや、バリューコマースをどこまで知っているかなど、若い世代が持っている弊社の知名度についても理解できました」。

学ぶことが多かったと感想を語る酒井氏

「みんなまじめだったのですが、なかでも素直に人の話を聞いてどんどん吸収するタイプの人は、会社に入っても成功すると思います。どの学生も参加するにあたって、自分がやりたいことが明確だったので、自分には何が必要なのかを考えていることがこちらにもわかりました。志望してもらえるなら、ぜひ一緒に仕事をしたいですね」と小林氏も手応えを感じている。

「経験豊富な社員と一緒に、学生を囲んで交流会形式でフランクに食事会もしました。初めて聞く社会人の生活に学生たちも驚いていましたが、何より毎日引率している私が、今年入社したての新入社員だったことが一番の衝撃だったでしょうね」と笑顔で語る小林氏。インターンシップのプログラム制作を任されたときの心境について尋ねてみると、「素直にうれしかったです。先輩たちのおかげで思い切りやれました。振り返ってみると、"駆け抜けた"という感じの日々でしたね。こういう機会を与えてもらって感謝の気持ちです」と答えてくれた。

入社初年度にして大役をこなした小林氏

すべてのプログラムを終えた学生たちに最後のアンケートを取った結果、「楽しかった」「有意義だった」という意見がほとんどで、「短い2週間だった」という意見も多く聞かれた。「でも、実際に考えてみると2週間といえば半月です。長いスパンだったと思いますし、正直きつかったと思います。でも、それが学生たちが社会に出たときのお役に立てるといいです」と酒井氏。

そのほか、学生たちからは自分の将来設計への影響について「自分の将来を決めかねていた部分があったが、この経験を通じて就職に対する疑問が解消した」「学生と社会人の振る舞い方や意識の違いを身をもって感じられた」など、仕事と学業の違いに対する不安の解消や、その具体的な違いを実感できたという意見が多く聞かれた。また、バリューコマースへの感想としては「意見が言いやすい職場だと感じた」「多くの女性が活躍している」「社員一人ひとりが会社の原動力になっていると強く感じた」といった印象を持ったようだ。印象に残った研修内容について尋ねると、特に意義深かったものとして挙がったのが役員の講話や社員たちとの交流会。実際に最先端の現場で活躍している経営者やビジネスマンと対話することで多くのことを学べた様子が見て取れる。

創造性にあふれたインターンシッププログラムを見事に実現したバリューコマース。外から見ればチャレンジングな内容かもしれないが、バリューコマースが成長を続ける若い企業であるからこそのパワーで実現できたともいえる。いずれにしても、同社が"インターンシップを通じて社会貢献をする"というポリシーを掲げる限り、来年もまた多くの学生にとって実りあるプログラムを提供してくれるはずだ。

大きな成果を残すことができたインターンシップをプロデュースした両氏。企業にとっても価値のある時間になったようだ