盛り上がるWiMAXによるネット接続

2009年のサービスインから着実にサービスエリアの展開を進めてきたUQ WiMAX(以下、WiMAX)。現在では首都圏を含めた主要都市へのエリア展開をほぼ終え、多くの場所で安定した接続が可能になってきた。これに伴い、契約者数も順調に増加しているようだ。また、例えばモバイル系のノートPCを中心に、WiMAXモジュールを内蔵したPCも増えてきた。

複数の端末で同時にWiMAX接続を利用できるモバイルWiMAXルータ

ノートPC内蔵のWiMAXモジュールは確かに便利だが、WiMAX接続が利用できるのは内蔵しているノートPCだけだ。そこでUSB接続やExpressCard接続といったWiMAX端末が用意されており、それらを使えば複数のノートPCなどで使い回せる(それでもWiMAX接続できるのは1台のPCのみ)。

WiMAXを内蔵したコンパクトな無線LANルータ「AtermWM3500R」のマーズレッドモデル。非常にコンパクトで重さはわずか約120gと軽量

今回紹介するNECアクセステクニカのモバイルWiMAXルータ「AtermWM3500R」(以下、WM3500R)を導入すると、複数のデバイスで1つのWiMAX接続を同時に利用できるようになるのだ。無線LAN機能(Wi-Fi)を搭載したデバイスなら、ノートPCはもちろんのこと、スマートフォンやタブレットデバイス、ゲーム機などもつながり、各デバイスでインターネットアクセスが可能となる。異なるデバイスを最大8台まで同時接続でき、利用スタイルやWiMAXの電波状況にもよるが、通信速度を考慮すると同時接続は最大5台くらいで考えておくとよいだろう。この「複数デバイスの同時接続」という使い勝手で、ノートPC内蔵のWiMAXモジュールや外付けのWiMAX端末を圧倒するといえる。

ところで、WM3500Rには前モデルとなる「AtermWM3300R」というモバイルWiMAXルータがあったが、バッテリの持続時間が短かったり本体があまりコンパクトではないという指摘を受けることが多かった。

こうした点を解消してきたのが、新モデルとなるWM3500Rだ。連続通信が可能なバッテリの持続時間を約2.5時間から約8時間へと飛躍的に向上させ、重さが約145gから約120gとさらに軽量・コンパクトになった。加えてプラチナブラック/シルキーホワイト/マーズレッドという3色のカラバリを用意するといった趣向も加わっている。その中からマーズレッドモデルをじっくり使う機会を得たので、試用感をお伝えしよう。

試用機の主な仕様

[WAN通信] WiMAX [USBインタフェース] USBコネクタ(micro B-type)×1 [無線LAN] IEEE802.11b/g(11nテクノロジー) [セキュリティ] SSID、MACアドレスフィルタリング、マルチSSID(ネットワーク分離機能)、WEP(64bit/128bit)、WPA-PSK(TKIP/AES)、WPA2-PSK(TKIP/AES) [本体サイズ] 約W105×D70×H14.8mm [重量] 約120g(本体のみ) [バッテリ] リチウムポリマバッテリ、定格3.7V、2500mAh [連続通信時間] 最大約8時間
注:マルチSSID機能(ネットワーク分離機能)はファームウェアのバージョンアップで対応予定(2011年1月12日時点では未対応)

都内に潜む3G通信圏外スポットでも利用可能な場合も

きわめて個人的な話になるが、あらかじめお断りしておきたい。筆者宅は19戸ほどのマンションの1階で、建物の最奥部に位置している。位置的に、携帯電話や無線LANホットスポットなど関して非常に厳しい環境なのだ。マンションの外では各社の携帯電話にアンテナが3本立っているが、自宅に入ると軒並み圏外になってしまう。悲しいことに、NTTドコモもソフトバンクもイー・モバイルも、筆者の部屋ではすべて圏外。唯一、近くに基地局がある関係で、auだけはかろうじて利用可能という状況だ。

マンションの構造上の問題で、au以外のキャリアは軒並み圏外という状態の筆者宅。改善が可能かNTTドコモに調査を頼んだこともある

NTTドコモの担当者に電波状況をチェックしてもらったところ、残念ながら電波状況の改善にまでは至らないとの結論であった…

「3Gモバイル通信」を含めた契約まで考えてみると、au以外は選択できないことになる。しかし残念ながら、auのデータ通信の料金体系は筆者にとってあまりメリットがありそうもない。

こうした状況を変えてくれたのが、エリアを拡張してきたWiMAXだ。3G通信の7.2Mbpsに対して、WiMAXは下り最大40Mbpsという通信速度。現状で筆者がモバイル通信環境を選択する場合、WiMAXが最適ということになる(筆者のような特殊な環境にある人が多くいるとは思えないが…)。

au以外の携帯キャリアが軒並み圏外な状況で、幸運にもWiMAXがギリギリ利用可能という判定結果。3G通信より高速な通信が期待できるWiMAXはとても魅力的だ