テスト環境

次に今回試用した環境を紹介したい。まずCPUであるが、今回はCore i5-661を利用した(Photo12,13)。表1でも判るとおり、Core i5-661はCPUの動作周波数はCore i5-660同様3.33GHzだが、GPUの動作周波数が900MHzまで引き上げられている(Core i5-660は773MHz)。ただしその分TDPは87W(その他の製品は73W)になっているのが他と異なる点だ。なおCPUクーラーは純正のものが付属してきた(Photo14)が、今回はZALMANのCNPS7500-CU LEDを使ってテストを行っている。

Photo12: 左がCore i5-661、右は比較用に借用したCore i7-870。若干ヒートスプレッダの形状が異なるが、これはES品ゆえの差異であろう。

Photo13: 裏面。やはり左がCore i5-661。チップコンデンサの配置の違いが良く判る。恐らくこの写真で言えば上側にCPUコアが位置すると思われる。

Photo14: フィンの高さは13mm(実測値)と小柄なもので、65WのTDPだったPentium DualCoreに付属してきたものと見た目殆ど差が無い(ただ取り付け穴の形状が異なるので、リテンションはLGA1156用だから同一ではないのだが)。

マザーボードは、IntelのDH55TC(Photo15,16)。バックパネルは比較的シンプルである(Photo17)。電源は5フェーズだが、TDPを考えればこんなもので十分だろう(Photo18)。電源制御IC(Photo19)にはON SemiconductorのNCP5380が搭載されていた。

Photo15: マイクロATX。型番から判るとおり、H55搭載である。ちなみに開発コード名はTomCoveだそうだ。

Photo16: CPUソケットの取り付け部用のリテンションが目立つ。

Photo17: マウス/キーボード共用のPS/2コネクタの色分けがちょっと面白い。一応HDMIもちゃんと出ている。

Photo18: むしろ、ATX12Vの追加コネクタが、最近当たり前の様に使われる4×2(つまりEPS12V相当)ではなく、2×2(ATX12V相当)なのが珍しく感じる。

Photo19: NCP5380は最大でも1.6Vまでしか出せないし、そもそもオーバークロック動作には電源が貧弱すぎるが、そうした用途向けではないからこんなところで十分なのだろう。

PCH(Photo20)の周囲にはピンヘッダの形でプリンタポートなども配されていた。変わった所では、FP USB 2(フロントパネル向けUSBピンヘッダ)に、ちょっと背の高いスタンドが取り付けられており、恐らくOEMの要望によっては、ここにUSB接続のBluetoothアダプタあたりを取り付けるのではないかと想像される。

Photo20: PCH。発熱は従来のICH並みな様で、ヒートシンクも簡単であった。

Photo21: 従来よりシルク印刷がわかり易くなっているのも特徴。

バックパネルコネクタの背後、丁度HDMIとUSB×2コネクタの間あたりには、Parade TechnologiesのPS8202が配されていた(Photo22)。他にはIntelの82578DCとかRealTekのALC888Sが搭載されていたり、というあたりが目立つ程度で、概して普通の構成であった。

Photo22: HDMI/DVI用のレベルシフタ。DVIとHDMIの同時出力を考えてか、2ch対応のものが搭載されている。

Photo23: PCIe接続であるGbE PHYの82578DC。これはまぁ定番である。

Photo24: RealTekの7.1+2ch HDA Codec。

OSは、Windows 7で64bitを選ばれるケースが多いことから、Windows 7 Ultimate 64bit 日本語版を使ってみたが、Windows Experience Indexはこんなところ(Photo25)。ついでにCPU-Zの結果(Photo26~29)も示す。またGPUの素性をGPU-Zで確認してみたが、やはりまだ未対応だった(Photo30)。ところでグラフィックスドライバに関しては、まだまだ熟成が必要に思える。というのは、試しにUNiGiNEのHeaven Benchmark 1.0を掛けてみたところ、FLAPSでキャプチャするとまともに表示される(Photo31)のに、画面はこんな有様だからだ(Photo32)。

Photo25: 3Dよりも2Dがむしろボトルネック、というのは面白いところだ。

Photo26: LynnfieldのCore Voltageが0.88Vまで下がっていた事を考えると、0.95Vはやや高めというべきかもしれない。

Photo27: L1/L2キャッシュはLynnfieldと同じ構成。L3は容量半減にも関わらず、同じ16way構成になっているのがちょっと興味深い。

Photo28: BIOS Versionは一応βとしては最終版となる筈の0027を利用した。

Photo29: メモリはDDR3-1333 CL9 2GB×2を利用。

Photo30: GPUに(キャンセルになった)Havendaleの名前が出てくるところがちょっと興味深い。

Photo31: HeavenそのものはDX 11対応のベンチマークだが、画面にもある通りこれをDX 9モードで動作させてみた。少なくともキャプチャした画像はまともだし、FLAPSの録画モードで撮った場合も問題なく記録できた。

Photo32: にも関わらず画面表示がこれ、というのはつまりフレームバッファ→ビデオ出力に問題があるという話である。もっともここまで壊れるのはHeavenだけで、後は(ちょっと怪しいものの)一応まともに表示されていたが。

ところで内蔵グラフィックスのテストの場合、比較対象に困るところだ。あるいはAMDあたりの内蔵グラフィックスチップセットとの比較もあるかもしれないが、CPUまで変わってしまうから判断が難しい。考慮の末、市場に出ているローエンドのDiscrete Graphics製品との比較という事にしてみた。今回はASUSTeKより、ATI Radeon HD 4350を搭載するEAH4350 SILENT/DI/512MD2(Photo33,34)とNVIDIA GeForce 9400を搭載するEN9400GT SILENT/HTP/512Mを借用、これとの比較とすることにした。またP55マザーボードとの比較も必要なので、これにはASUSTeKのP7P55Dを利用している。

Photo33: ファンレス構成で動作するEAH4350 SILENT/DI/512MD2。Low Profile版もある。実売価格は5,000円といったところ。

Photo34: 本来ならばもう少しすると登場する、DX 11世代の"Cedar"コアの方がいいのだろうが、まだ発表前なのでとりあえずRadeon HD 4350で。

Photo35: 借用しておいて何だが、何故か日本のASUSTeKのサイトには無いEN9400GT SILENT/HTP/512M。流石に65nmのコアだけに発熱も多く、ファンレスには2スロットが必要になってしまっている。実売価格は7,000円程度だった。

Photo36: こちらもGeForce GT 210あたりの方がいいのだろうが、まだ価格が高いし、発熱も多いので、内蔵グラフィックスとの比較であればこの程度のスペックの方が好ましいだろう。

またCPUについては、同一価格帯ということでCore i5-750と、同等の周波数ではない(Turbo Boostがフルに利くと同じ3.60GHzになるが、通常は2.93GHz)にせよLGA1156では最高周波数ということで、Core i7-870も用意して比較することにした。

その他のテスト環境は表3に示す通りである。

■表3
CPU Core i5-661 Core i5-750 Core i7-870
Memory Century Micro DDR-1333 CL9 2GB×2
M/B Intel DH55TC ASUSTeK P7P55D
BIOS TCIBX10H.86A.0027 BIOS 1207
Driver Intel Inf Driver 9.1.1.1020
Video Core i5-661 内蔵グラフィック EAH4350 SILENT/DI/512MD2 EN9400GT SILENT/HTP/512M
Driver GFX_15.16.4.x.2008_PV Catalyst 9.12 64bit Forceware 195.62 64bit
HDD HGST DeskStar HDP725050GLA360 (NTFS)
OS Windows 7 Ultimate 64bit 日本語版