Opera Unite、すべてをクラウドにすることもない

11月23日(ノルウェー時間)にリリースされた最新のOpera 10.10では、Opera Uniteと呼ばれる機能がデフォルトで有効になった。Opera Uniteは、いわばブラウザをサーバにする機能。ブラウザ同士が直接P2P接続できるようになる。まだほかのどのブラウザもデフォルトで提供していない機能で、Operaのイノベーション好きをよく表現した機能だ。

Opera Uniteの活用シナリオはいくつもあるが、今後はOpera Uniteの対応アプリを開発するコミュニティのそれが委ねられることになるという。Operaが提供するのは自社向けのイノベーションであり、そしてユーザ向けのイノベーションだ。ブラウザが直接通信するための基盤を提供することで、ユーザがそこで自由にOperaを拡張できる。Chromeがユーザへのオプションを最小限する方向性に対して、Operaではどのユーザも満足できうように高いカスタマイズ性を提供している。Uniteもそうした取り組みのひとつだ。

またOpera UniteはネットワークはオープンであるべきというOperaの理念も表現している。たとえばFlickrであったりTwitterであったり、便利な機能でユーザの主体があるサービスだが、かりにベンダがいきなりサービスを停止すればそれでおしまいだ。Opera Uniteの主権は完全にユーザにある。たしかにOpera Uniteでも一旦Operaのサーバにアクセスしているが、これはいわばDNSとして機能しているだけで、接続先相手のIPが分かれば一旦Operaのサービスにアクセスできなくても直接通信できる。

Opera Software International、Web EvangelistのDaniel Davis氏は実際にOpera Uniteを動作しながら、複数名の間で直接通信ができることをデモンストレーションしてくれた。一見するとGoogle Waveに近い感覚だが、Google WaveがGoogleのサーバとサービスに依存していることに対し、Opera Uniteは完全にユーザの手元にすべてソフトウェアがあるという違いがある。

Opera Uniteのデモ。ここではOpera Uniteのアプリケーションサイトから「WhiteBoard」というアプリケーションをダウンロードして使用。URLを入力するだけで、アプリケーションを実行しているPC(左)に他のPC(右)から直接アクセスできる。

iPhone版のOperaも開発中

モバイルデバイスとしてはiPhoneとAndroidへの注目度が高い。特に最近では開発者の注目はAndroidに注がれているという。以前、OperaはiPhone向けのブラウザは提供しないという報道がされたことがあったが、どうやらこれは誤報だったようだ。冨田氏によると、iPhone向けのOperaは実際には開発しているという。ただ、App Storeに提供できるかどうかはAppleの判断次第なのでどうなるかわからない、ということだそうだ。すべてのデバイスにOperaを提供する、まずはビジネスを越えてやってみるという同社の姿勢をあらわしている。