2種類の席
シュワルツコフのフリーアドレス制には、2種類の席が設けられている。1つは、パーティションが低く、3席が横に並ぶかたちの一般席。もう1つは、パーティションが高く、1席ずつ仕切られた集中席である。
集中席は、ドアこそないものの、個室に近いレイアウトになっており、周りの目を気にせず業務に没頭できる。そのため人気も高いのだが、こちらの席が使えるのは最大120分。ダラダラと仕事をしていると途中で移動しなければならなくなってしまう。「2時間で終わらせる」という強い意志がないと選べないわけだ。こうして、物理面だけでなく、精神面でも集中できる環境を作っている。
なお、一般席に関しても専有時間には上限が設けられている。その上限とは480分。つまり、一日の就業時間に当たる8時間である。足立氏によると、「こうした取り組みにより、社員が作業時間を意識するようになり、全体の残業時間が数割減った」という。
抽選は3回まで
一般席にも人気/不人気の席がある。例えば、横並びの3席のうちの中央の席は、机の角に当たる両サイドに比べてワークスペースが多少狭くなるうえ、両サイドに人がいるとなんとなく圧迫感が生まれるなどの理由から、できれば避けたいと考える人が多いという。
そこで、シュワルツコフでは、OfficeDARTSシステムによる抽選を2回までやり直せるルールにしている。1回きりの運任せで終わりにするのではなく、再抽選を行うかどうかの選択権を与えているわけだ。自分でコントロールできる部分を設けたことで、好ましくない席になったとしてもある程度納得できるかたちになっている。
なお、「フリーアドレス制にした当初は5回まで抽選できるようにしていた」(足立氏)が、席選びの時間が長くなってしまうので、3回までに制限したという。また、「2回やり直しを行うと、3回目は自動的に真ん中の席になってしまう設定になっていて、そのことも全員に周知してある」(足立氏)と言い、真ん中を好む人を除き、多くの人は1回しか再抽選を行わないようである。
物を減らすための工夫
PCや書類など、個人のものをしまうキャビネットは、決して小さくはないものの、通常のオフィス机に設置された引き出しに比べると容量が格段に少ない。部署ごとの共有キャビネットも意図的に減らしている。
これにより、社員は「とりあえずとっておく」ということはできなくなり、荷物を減らす工夫をするようになったという。その結果、「オフィスが自然ときれいになったうえ、印刷回数も明らかに減っていった」(足立氏)そうだ。
また、椅子にもこだわり、背もたれにジャケットをかけられるもの採用した。これにより、ハンガーラックを減らすことができ、オフィス空間を広く見せられるようになったうえ、机の上にジェケットが乱雑に置かれるようなことも減り、オフィスのクリーン化が進んだ。
PHS化で対応が迅速化
先述のとおり、フリーアドレス制の導入に伴って社内電話をPHSに変更し、どの席になっても同じ番号で呼び出せる環境を整えたわけだが、このPHS化にはもう1つ大きなねらいがあったという。
それは、会議など、自席にいないときでも電話に出られる状況を作ること。こうすることで、顧客からの緊急な要件にも対応でき、より強固な信頼関係を構築できるうえ、ビジネスチャンスを逃すことも減るという。
また、社員の外出中に掛かってきた電話はPHSから携帯電話に転送される仕組みになっている。こうした工夫により、担当者がつかまらず、進捗が滞るといった機会を極力減らしている。