構造転換が迫られる沖縄経済~観光の高付加価値化、新産業創出に取り組む

沖縄経済同友会代表幹事(沖縄銀行頭取) 山城正保

 2025年、沖縄への観光客数は1075万人で過去最高を記録しました。しかし、物価高や人手不足の影響は沖縄も例外ではなく、特に物流コスト高や観光業の人手不足が課題となっています。これらは単に人を増やせば解決する問題ではなく、沖縄経済が構造転換を迫られていることを示すシグナルだと私たちは受け止めています。

 今後の発展に向けては、①観光の高付加価値化、②ブルーエコノミーの推進、③DXによる生産性向上、④新産業創出と離島振興が課題として挙げられます。観光では一人当たりの消費額や宿泊日数を伸ばす高付加価値型観光へと転換し、文化体験、エコツーリズム、ウェルネスツーリズムなど滞在型コンテンツの充実が重要となります。ブルーエコノミーは海洋資源と自然環境を活かした取り組みで、例えばバイオ研究、海洋深層水を利用した養殖事業、さらには富裕層向けスーパーヨットの寄港・修理拠点整備などが検討されています。ヨット修理のための滞在は数日から1週間に及ぶため、高付加価値な観光を提案できる機会となるでしょう。

 また、人手不足への対応としてDX化は不可欠です。離島航路のチケット発券業務のデジタル化などが進められており、業務効率化だけでなく、観光客の移動や消費行動のデータ分析にもつながっています。新産業の創出という点では、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究業化につなげる仕組みづくりを経済同友会として提言しています。OISTの研究力は世界的にも高い評価を受けており、食品残渣(ざんさ)を肥料化するスタートアップなどが生まれています。琉球大学でも高級魚ミーバイの陸上養殖など、地域資源を活かした取り組みが進んでいます。

 さらに、経済同友会では若者の海外研修支援を通じて国際的に活躍する人材の育成や、有事を想定した事業継続・従業員避難に関する提言なども行っています。

 2024年からは県内4つの経済団体と那覇市・浦添市・宜野湾市で構成される「GW2050プロジェクト」が始動し、沖縄を「世界に開かれたゲートウェイ」と位置づけ、2050年に向けた成長戦略を描いています。基地返還地の活用、空港・港湾機能の強化、「文教地区」「観光地区」といった都市のゾーニングなどを通じ、県内総生産を2024年の約4.9兆円から11兆円へ、一人当たり県民所得を254万円から624万円へ、人口を147万人から167万人へ引き上げることを目指しています。

 沖縄は地政学的にアジアの要衝であり、歴史的にも貿易で栄えた海洋国家として独自の文化を育んできました。その特性を経済面の強みに転換し、世界から人・資本・技術を呼び込む拠点となる未来を実現していきたいと考えています。