JALグループのIT中核会社であり、そこで培った知見をグループ外の企業にも幅広く提供するICTインテグレーターである「JALインフォテック」は、本社、データセンターおよび全国13カ所の拠点を結ぶWAN環境を「VMware SD-WAN」で刷新しました。WAN回線を閉域網から複数のインターネット回線へシフトすることで、ネットワークの品質や可用性が向上し、コスト削減にも繋がりました。WAN構成をSD-WANへ刷新したことで回線の柔軟なスケールが可能となり、DX推進やJALグループの戦略実現を支援するために必要な高品質なITインフラを整備する事ができました。

ソリューション

システムのクラウド化が進む中、社内外よりWAN環境に対してさまざまなニーズがさらに高まってきたことを背景に「VMware SD-WAN」を導入。本社とデータセンター、および全国13カ所の拠点に SD-WAN Edge を設置することで、WANの品質向上、ネットワーク状況の可視化による運用効率の改善および回線コストの削減を実現した。

導入前の課題

  • クラウドサービスの利用が増加し、インターネット向けの回線帯域がひっ迫
  • トラフィック状況が可視化出来ていないため不具合発生時の状況把握が困難
  • WAN環境に対するニーズの高まり(柔軟性、信頼性、可用性、コスト効率など)

導入効果

  • パケット単位での動的な回線選択による品質向上や可用性向上
  • 適切なローカルブレイクアウトによる快適なクラウドサービスの利用
  • トラフィック状況の統合的な可視化でトラブル対応や対策の効率を改善
  • 複数キャリアの回線やサービスを選択することで柔軟なWAN構成やコスト削減を実現

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JALグループを支えるIT環境の実現において、柔軟性が低い旧来型のWAN環境に複数の課題

JALグループは中期経営計画の中で2030年に向けたJALグループのあるべき姿「JAL Vision 2030」を掲げています。ポストコロナの時代における価値観の変化の中、これを実現するための成長エンジンとして「安全・安心」「サステナビリティ」を挙げています。JALグループのIT中核会社であるJALインフォテックは、主にIT活用の側面から、グループ戦略への貢献を目指しています。

「このJAL Vision 2030 そして中期経営計画を実現していくにはITが必要不可欠であり、IT中核会社であるJALインフォテックが、JALグループのビジネスの土台となるITサービスを確実に提供していくこと、これが第一だと考えています。そしてこの実現には、JALグループのITを取り巻く大きな外部環境の与件の変化に対応していかなければならない、ということがポイントです。」

そう話すのは、JALインフォテックで執行役員 技術・品質事業部長を務める小山田千里氏です。近年、デジタル技術の効果的な活用や、最新のテクノロジーからビジネス上の価値を生みだすデジタルトランスフォーメーション(DX)が、多くの企業で重要な経営課題になっています。もちろん、JALグループでも、これらを積極的に進めています。

  • 株式会社 JALインフォテック 執行役員 技術・品質事業部長 小山田 千里 氏

    株式会社 JALインフォテック
    執行役員 技術・品質事業部長
    小山田 千里 氏

小山田氏は「デジタル技術を活用しJALグループの変革を推進するべく、さまざまな施策に取り組んでいます。JALインフォテック社内のDX推進にあたっては「社員一人一人が変革できる力を身につける」ことを目標の一つに定め、技術スキル強化、挑戦する風土醸成などの活動を通じてJALグループをITで支えられるような体質づくりを目指しています。」と話します。

JALインフォテックは、2021年1月に、本社を東京都港区芝浦の田町ステーションタワーへ移転しました。当初、新本社のWAN環境は、旧来のサービスを回線増強して使い続けることが計画されていました。しかし、同社では移転プロジェクトと並行して、より柔軟性の高いWAN環境を実現できる「SD-WAN」の導入を検討しました。

その理由について、システム基盤サービス事業本部 サービス事業部 ユーザーサポート・サービス部 テクニカルサポートグループのエンジニアである桑島拓也氏は「IT中核会社としてJALグループのシステムを24時間365日体制で支え、より高品質なサービスを提供するには、JALインフォテックにおいてはネットワーク、特にWAN環境に課題があると感じていました。」と話します。

  • 株式会社JALインフォテック システム基盤サービス事業本部 サービス事業部 ユーザーサポート・サービス部 テクニカルサポートグループ エンジニア 桑島 拓也 氏

    株式会社 JALインフォテック
    システム基盤サービス事業本部
    サービス事業部 ユーザーサポート・サービス部
    テクニカルサポートグループ エンジニア
    桑島 拓也 氏

同社では2016年に、社内ネットワークのSDN(Software Defined Network)化を行っています。一方で、拠点間通信やクラウドサービス利用のためのWAN環境については、柔軟性の低い旧来からの構成でした。

「ここ数年、特にコロナ禍以降には、社内で利用するクラウドサービスの数と通信量が増加しており、回線のひっ迫、サービス速度の低下といった問題が頻繁に起こっていました。加えて、従来の環境は、トラフィックの状況を我々が詳細に把握できず、トラブル対応や効果的な対策が難しいといった問題を抱えていました。また、従来の環境でネットワークの可用性を確保する際には、複数の閉域網回線をアクティブ/スタンバイで準備する必要があり、コスト面での非効率性も課題になっていました。」(桑島氏)

本社移転を機に全社でVMware SD-WANに移行。快適で柔軟なWAN環境と回線コスト削減を実現

JALインフォテックでは、これらの課題を解決できるソリューションとして「SD-WAN」に注目。複数ベンダーのSD-WANを比較検討しました。最終的に「VMware SD-WAN」の導入に踏み切ったのは「リアルタイムでの回線最適化」「回線状況や品質の可視化」「オンラインベースでのトラブル対応」といった、WANに対する同社の全ニーズに応えられる、唯一のソリューションだったためだと言います。

同社では、ヴイエムウェアのサポートを受けつつ、2020年夏ごろよりVMware SD-WANのPoC(概念実証)を開始しました。最初は、本社と羽田支店、データセンターのそれぞれに検証用のSD-WAN Edgeを設置し、異キャリア間のフェールオーバーができるか、アプリケーションごとに最適な回線でパケットが送受信されるか、暗号化が正しく行われるか、既存のネットワーク環境への影響がないかなどを検証しました。最終的に羽田支店の本番WAN環境をSD-WANに切り替えて業務を行い、問題がないことを確認した後、2020年の秋ごろに全社規模でのSD-WAN導入を決定します。2021年1月営業開始の新本社を始め、データセンター、全国13カ所の拠点(支店・事務所)のWAN環境が、随時VMware SD-WANに刷新され、すべての拠点で稼働を開始しています。

導入の全工程に関わってきた桑島氏は、SD-WANの本稼働が始まったことで「以前に感じていた課題のすべてが解決されたと感じている」と話します。

なかでも大きいのは、WAN回線のアクティブ/アクティブ化や異キャリア回線のバンドル化を実現できたことだといいます。同社では閉域網を2回線用意し耐障害性を高める構成としていましたが、SD-WANを導入することで柔軟な回線構成の構築が可能となり、安価なインターネット回線を複数バンドルすることで可用性を高めさらに回線利用率の向上および帯域増加を実現しました。その後、回線利用率を精査し閉域網を1本削減することでコスト削減も実現することが出来ました。

「SD-WANへの移行によって、拠点間での会議も、映像付きで快適に行えるようになりました。今後、新しいクラウドサービスを導入する際にも、本社と支店の区別なく快適に利用できるようなWANが用意できたことは、デジタル活用に対する社員のモチベーションを高め、DXを推進する上でも、良い影響があるだろうと期待しています。」(小山田氏)

多様な回線を、柔軟に束ねて利用できるというVMware SD-WANの特長は、ネットサービス利用時の快適さを向上させるだけでなく、非常時におけるWANの可用性を高める効果も期待できるといいます。

また、VMware SD-WANで可能となった「回線状況や品質の可視化」は、ネットワークトラブルの原因究明を迅速化し、担当者の作業効率を向上することに貢献しています。

  • 株式会社 JALインフォテック システム基盤サービス事業本部 サービス事業部 ネットワークソリューション部 ネットワークサービスグループ長 立場 一寛 氏

    株式会社 JALインフォテック
    システム基盤サービス事業本部
    サービス事業部 ネットワークソリューション部
    ネットワークサービスグループ長
    立場 一寛 氏

システム基盤サービス事業本部 サービス事業部 ネットワークソリューション部 ネットワークサービスグループ長の立場一寛氏は「これまでネットワークに関する障害申告や問い合わせがあった場合、複数の基盤を調査する必要があったことから、切り分けに時間を要していました。VMware SD-WANでは、トラフィックがアプリケーションごとに可視化出来るため、切り分けの時間を大幅に短縮することが出来ています。」と話します。

VMware SD-WANへの切り替えは、同社のビジネスに求められるWAN回線のランニングコスト削減にも寄与すると期待されています。導入前の試算によれば、本社を移転したタイミングで、当初の計画だった「従来のWAN環境で回線増速をした場合」に比べ、「VMware SD-WANへ移行した場合」には、その後5年間のWAN回線の費用を約50%削減できると見込まれています。

SD-WAN導入で得たメリットとノウハウをJALグループ外の企業へ積極的に提案

本社移転プロジェクトと並行して進めた、全社規模でのVMware SD-WAN導入が成功した要因として、桑島氏は「当初から、自社のWAN環境にどのような課題があるかを、具体的に把握していたことが大きいと思っています。」と話します。

「本社移転までの限られた時間のなかで、検討、PoC、そして導入と進めましたが、ヴイエムウェアのサポートもあり、スムーズに実施することができました。ソリューションについての詳細な説明から、PoCや全社展開時のトラブルシューティングまで丁寧に対応していただけて、大変感謝しています。」(桑島氏)

「全社へのSD-WAN展開を完遂し、多くの知見や効率的な運用についてのノウハウを蓄積することが出来ました。このナレッジを活用し、JALグループ外のお客さまへ我々が享受したメリットを積極的に提案していきます。JALグループへのSD-WAN導入は、日本航空とともに今後のネットワーク戦略を考えていく中で検討していきたいと考えています。」(立場氏)

  • 集合写真

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●業界
IT SERVICE

●カスタマープロフィール
JALグループのIT戦略を支える中核会社として1978年8月に設立。予約、貨物追跡、航空機の運航・整備、空港関連システムなど、航空運送業全般に関わるITシステム、ネットワークシステムの設計、開発、運用、保守の一貫したサービスを手がける。また、そこで蓄積した知見を、グループ外のさまざまな企業にも広く提案、提供する。

●ユーザーコメント
「SD-WANへの移行で得られた大きな効果の一つは、セキュリティー要件を満たしつつ、可用性を高め、柔軟なコスト効率の高いネットワーク環境を整備できたことです。デジタル活用に対する社員のモチベーションを高め、今後、DXを推進していくうえでも、良い影響が生まれることを期待しています。」
――株式会社JALインフォテック 執行役員 技術・品質事業部長 小山田 千里 氏

●導入製品・サービス
・VMware SD-WAN

[PR]提供:ヴイエムウェア