1919年に創立、セルロイド生地の製造から事業をスタートし、プラスチックの普及に伴い建設業を中心にさまざまな製品を市場に投入してきたタキロンと、1971年に創立し、パイプ、農業用ビニール、家具・建材用フィルムを中心に事業を展開してきたシーアイ化成。伊藤忠グループの主力プラスチックメーカーである両社が2017年に経営統合し、誕生したのがタキロンシーアイ株式会社だ。

建築資材・シビル事業、高機能材事業、フィルム事業の3つの柱にビジネスを展開する同社では、2021年よりデジタル技術を活用した全社横断的なビジネスモデル変革を本格化し、DX戦略推進部(現:IT・DX戦略部)を設立。経営統合によるシナジー効果を最大化し、新たな価値を提供するための取り組みを推進している。

本稿では、旧タキロン・旧シーアイ化成で運用していた生産管理システムを刷新し、一元的な生産管理の仕組みを構築することでデータドリブン経営への転換を図った同社の取り組みと、新生産管理システムの導入から運用までを統合的に支援したCTCシステムマネジメントのサポート体制について紐解いていく。

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経営統合後もレガシーな生産管理システムが混在、全社的なDXを阻む要因に

採光建材・住宅資材・管工機材・床材・建装資材、プレート・切削用材料や農業用ハウスフィルム・シュリンクフィルム・高機能プラスチックジッパー、マイクロモータなど、多岐にわたる分野に高機能な製品を投入してきたタキロンシーアイ。国内に8つの製造拠点を構える同社では、旧タキロンと旧シーアイ化成の工場で異なる生産管理システムが稼働しており、管理の複雑化とデータのサイロ化を引き起こす要因となっていた。

2021年から、全社的なDX、スマート化を経営方針に掲げた同社では、工場の生産管理を担っている生産本部内にデジタル推進グループを設立し、全工場統一のスマート化に着手した。そのグループ長を務めたのが、当時生産本部に所属していたタキロンシーアイ IT・DX戦略部 生産システムグループ長の武田 直人 氏だ。

「生産本部 デジタル推進グループのグループ長に就任した際にまず感じたのは、工場で稼働しているレガシーな生産管理システムが、スマート化の足枷になるということでした。旧タキロン工場と旧シーアイ化成の工場で利用しているシステムが異なるため、業務プロセスもバラバラ、データの扱いも工場ごとに違っており、全工場の業務を標準化し、同じ粒度で管理できる生産管理システムが必要という結論に達しました」(武田氏)

経営判断の指針となる全社的なデータ利活用を見据えると、現場で入力・蓄積していく生産系のデータや、工場設備から収集するデータを一元管理できるプラットフォームが必要になると判断した武田氏は、新生産管理システムの導入による全工場の統一化を提案。その結果、生産本部 デジタル推進グループを中心とした新生産管理システム導入プロジェクトがスタートした。

旧システムの運用や切り替えに関与してきたCTCSが、導入・運用のパートナーとして参画

こうして、工場管理部門の主導で2021年の夏にスタートした新生産管理システムの導入プロジェクト。約2カ月で導入するシステムとベンダーを選定し、各工場における現状と業務フローの洗い出しを実施した後、全工場を4つのグループに分類し、2022年5月から段階的にシステム導入が進められた。そして、それをサポートしたのが、30年以上にわたって数多くのシステム運用に携わってきたCTCシステムマネジメント(以下、CTCS)だ。本プロジェクトでCTCS 統合支援チームのリーダーを務めたソリューション・開発本部 システム開発1部 第1課 エキスパートの木崎 剛志 氏は、その経緯を次のように語る。

「弊社は、タキロンシーアイ様の生産管理に関して、旧シーアイ化成のシステムの運用や切り替えから携わっており、業務フローについて理解していました。今回のプロジェクトではIT部門ではないメンバーも多かったため、システムベンダーと現場の間に立って、プロジェクトを円滑に進める役割が必要となります。そこでシステム開発・運用の知見があり、タキロンシーアイ様の生産現場も熟知している弊社を選んでいただき、プロジェクトに参画したという経緯です」(木崎氏)

武田氏も、同社に常駐し旧システム時代から運用を支援し続けてきたCTCSがパートナーとして最適だったと当時を振り返る。

「CTCSさんは弊社工場の業務フローを熟知しており、システム側で足りない部分をどう運用でカバーしているのかといったところまで理解されています。工場ごとにバラバラな業務フローと生産管理システムを標準化・一元化していくことを考えた際に、どのように整理していけばよいのか相談できる相手としてはベストでした。導入後の運用・保守を考えても経験豊富で心強く、信頼感のあるパートナーであると判断し、プロジェクトに参画していただきました」(武田氏)

  • タキロンシーアイ株式会社 IT・DX戦略部 生産システムグループ長 武田 直人 氏

    タキロンシーアイ株式会社 IT・DX戦略部 生産システムグループ長 武田 直人 氏

メンバー全員が積極的に議論を行うCTCSは、プロジェクトを共に推進する“仲間”として現場と連携

CTCSの密接なサポートもあり、業務フローの整備とシステムベンダーへのインプット、開発規模や費用の概算などもスムーズに進み、新生産管理システムの導入プロジェクトは4つのフェーズに分けて推進された。そのなかで、武田氏を含めた生産本部 デジタル推進グループのメンバーが異動する形で、プロジェクトの主管が、IT・DX戦略部に移行。約3年半をかけ、2025年10月に全工場で新生産管理システムの導入が完了した。武田氏は、常駐で導入を支援したCTCSの統合支援チームについて、「単なる業務委託先ではなく、プロジェクトを共に推進する“仲間”だった」と高く評価する。

「現場でシステムに触れる人は本当に多種多様で、必ずしもITに詳しいわけではありません。そのため、現場のさまざまな要望を聞き、咀嚼してシステム側との折り合いをつけるには、業務フローやシステム運用を深く理解している必要があります。CTCSさんの統合支援チームはそれができる人が多くとても助けられました。全メンバーが積極的に意見を出してくれるので、全員がタキロンシーアイのメンバー、“良い仲間”と感じていました」(武田氏)

CTCS 統合支援チームの取りまとめ役である木崎氏は、「何かを決めるために議論するようなときは、意見出しも含めてメンバー全員が活発に話し合いを行いました。これができるのは弊社の強みと思っています」と自社の体制について言及。リーダーとして、タキロンシーアイの現場における業務とシステム運用を、新規のメンバーに理解してもらうことに注力したと語る。

「現在、本プロジェクトに携わっているメンバーは7人いるのですが、全員が以前からタキロンシーアイ様のシステム運用に関わっていたわけではなく、業務フローやシステム運用の現状を全員が理解しながら支援できるようにという部分には常に気を使いました。武田さんや現場の方からのご意見は具体的なときもあれば、抽象的なイメージでいただくときもあり、システム的な観点からどう落とし込むべきかといった議論をメンバー全員で行えるような体制を作れたのは大きかったと感じています」(木崎氏)

  • CTCシステムマネジメント株式会社 ソリューション・開発本部 システム開発1部 第1課 エキスパート 木崎 剛志 氏

    CTCシステムマネジメント株式会社 ソリューション・開発本部 システム開発1部 第1課 エキスパート 木崎 剛志 氏

武田氏も「システムを入れるにあたり、現場への説明やテスト運用を頻繁に行ったのですが、その際にもCTCSのメンバーが支援してくれました。現場の人たちも、他社の業務という意識ではなく、自分事として支援してくれたことに感謝しています」と喜びを口にする。

“モノづくり”のライフサイクル全体でシステム・データ連携を推進し、データドリブン企業への転換を図る

こうして2025年10月に全工場のシステム移行が完了し、業務の統一化を実現する新生産管理システムは本格稼働を開始している。大きなトラブルや障害も発生せず、安定稼働を続けていると武田氏は現状を説明し、「現場の人たちも新しいシステムに慣れてきて、現場への定着は順調に進んでいます」と手応えを口にする。

CTCSの支援もシステム導入から運用・保守へと移行していると木崎氏。「新システムが安定して稼働し続けるところを支援していくとともに、レガシーな基幹システムとのデータ連携について、問題なくデータのやり取りができているか確認しているところです」と現在の支援内容を説明する。

タキロンシーアイでは、購買管理や原価管理などレガシー化した基幹システムの刷新を進め、“モノづくり”のライフサイクル全体でデータを集約・連携させることで、さらなる業務効率化・生産性向上とデータドリブン企業への転換を進めていく予定だ。武田氏は、今後の展望についてこう語る。

「現在、生産系のデータを集約しているレガシーな基幹システムの刷新プロジェクトがスタートしており、2027年4月の稼働開始を目指して取り組みを進めています。2027年に新しい基幹システムが稼働すれば、データ利活用を次のステージに進められると考えています。また、今回のプロジェクトで構築したシステムは生産管理だけですが、将来的には購買管理の機能や原価管理の機能も加えて、大きな生産管理系の仕組みを構築してきたいと考えており、当初に描いた“在りたい姿”の実現を目指していきたいと思っています」(武田氏)

CTCSの木崎氏も、稼働を開始した新生産管理システムの運用・保守を継続するとともに、タキロンシーアイが目指す全社的なシステム連携・データ連携に関しても支援していきたいと今後を見据えている。

「まずは新生産管理システムの安定稼働を支援し、現状、運用面でカバーしているような部分も改善していきたいと考えています。その先の展望としては、武田さんが話されたようなシステム統合にも寄与していければと思っており、現場の業務を理解し、お客様と一緒にシステムの構築・運用を行っていくという弊社の強みを活かして支援していきたいと考えています」(木崎氏)

レガシーシステムに課題がある企業にとって、データ利活用の観点で大きな気づきが得られるタキロンシーアイとCTCSの取り組みは、今後も注視していきたい。

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